チームのメンバーや部下とのコミュニケーションを円滑にするにはどうしたらいいのか。2万人をみてきたコンサルタント・勅使川原真衣氏は、その方策を著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』で示す。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛する同書から、内容を抜粋・再構成し特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

人間関係の違和感から「相性」を知る

 人は思った以上に、会話や動作がなくても周りに情報を発しています。

 なんだか不機嫌そうな人、急に貧乏ゆすりを始めた人、強めにキーボードを叩く人。

 近くにいるだけで、手に取るように気持ちが想像できてしまいますよね。

 その状態を「観察」し、何も決めつけずにただ受け取るということが基本姿勢としてすごく大切です。

 つい「この人はパワハラ気質」とか、「メンタル弱っ」とか思ってしまいそうになるかもしれませんが、それは早計。だって、相手が何を考えているか、どんな気持ちでその言動に至ったかは知らないからです。

 相手からすると「決めつけてこないな、この人」と感じられるのは、有益なアドバイスをもらうことと同じくらい信頼の醸成に効果があるものです。

「言語化」の重要性が叫ばれて久しいですが、必ずしもすべての気持ちを言葉で表現できているとは限りません。こぼれ落ちる情報もたくさんあります。

 その瞬間に感じていた言葉にならない感情も、無理にまとめようとすると耳ざわりのいい表現に置き換えてしまったり。後で振り返ったとき「本当はもっとこうだったんだよなあ」とやきもきすることもあるでしょう。

 その点、「今」をしっかりとらえることができるのが、違和感なのです。

 違和感は言わば、生ものです。その場の状況を察知した瞬間の感覚で、感じたことがすべて。そこには正しさも何もなく、現実だけがあります。

 本書では仮説を立てるための「ソーシャルスタイル診断」も紹介していますが、直感的にわかる場合もあるでしょう。

組織の違和感ソーシャルスタイルの4類型
(『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』より)

「人それぞれ」では話が進まない

 職場で起きるトラブルが、この4類型の「組み合わせ(相性)」に端を発することは少なくありません。

 横軸は、自己開示が控えめ(シャイ)か、自己開示を大胆に行う(あけっぴろげ)か。縦軸は、他者への関心がさほどないか、強いか、という指標です。

 チーム内で左側の人が多いと、新しいことをしようとしている場面で慎重すぎて先に進まなかったり。

 下半分の人が多いと、業務の話から「あの人とは組みたくない」とか、「こんなことをするためにこの会社に入ったんじゃない」という話に脱線していってしまったり。

 ですが、それぞれの相性を理解してしまえば、つべこべ論評するのではなく、あとは環境を調整すればいいだけの話です。

 個人を憎まず、トラブルを未然に防ぐこともできるし、トラブルを早期に解決することだってできます。

 こういう図を見せると、「それこそ決めつけじゃないか!」と言う人もいます。ですが、私は組織を1台の「車」のように考えています。

 組織という「車」にとって、個人は大切なひとつひとつの部品。それを組み合わせて走る車をつくるためには、それぞれにどんな凸凹がどこにあるのかを把握することが必要です。

 それが噛み合うのが「相性がいい」ということです。
 アクセルが良くてブレーキはダメ、なんてことはありません。「持ち味」と言い換えてもいいでしょう。

 そのためにまず、この人は4象限のどこにいるのか、その当たりをつけることが必要です。

 もちろん、人間というのは十人十色です。「右上寄りの左上」だっていますし、「左下寄りの右下」だっています。3つや4つにはっきり分類することなんて、そもそもできません。

 ですが、「人はいろいろなので……」と言っているだけでは、一向に話が進まない。そこで、その人の最も強く出ている「持ち味」に焦点を当てて、便宜的に分類しているのです。

環境調整のために「分けて」考える

 そして、分類することで初めて、

「では、どう組み合わせたらよいのか?」
「自分が身を置くべき環境はどこか?」
「今、起きているトラブルの真因はどこにあるのか?」

 と、対策に向けた議論へ進むことができます。

 職場のメンバーの心理的な距離感をマッピングすることで、問題の本質は相性であり、やるべきことは環境調整であるということが見えてくるでしょう。