「大学入学共通テスト」で奇跡は起きない!だからこそ…東大生が教える直前対策マニュアル『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第115回は、大学入学共通テストに挑む直前期について考える。

「上振れエピソード」ばかり書かれるワケ

 大学入試センター試験(現在の大学入学共通テスト)を前にした龍山高校の生徒たちに、東大合格請負人の桜木建二は学年集会を開く。「妥協して自分を甘やかすな! 安易な道に逃げるな!」と受験生に喝を入れるのだった。

 あと1週間で大学入学共通テストが始まる。場合によっては人生を変えることになるイベントで、受験生のみならず、社会全体から着目される風物詩だ。

 いきなりで恐縮だが、共通テストで「奇跡」はおきない。ゼロとは言わないが、まずおきない。

 もちろん、ネット上には本番で点数が上振れた話をたくさん見ることができる。だがそれらは、あくまでごく一握りの結果論でしかないことを忘れてはいけない。そもそも、点数が下振れた人や普段通りの人の体験談は書かれづらいし、書かれたとしても意外性がないためアクセスされづらい。

 共通テストで奇跡がおきにくい理由はまだある。共通テストでは基本的に、「無難な」問題が出題される。各分野から満遍なくできるだけ偏りがでないように出題されるため、2次試験以上に番狂わせがおきにくい。模試の結果から大きく外れることは少ない。

 残り1週間で何をするべきだろうか。焦って徹夜で勉強するのは厳禁だ。当日の天敵は勉強不足ではなく体調不良だ。ただでさえ緊張する共通テストの本番、寝不足で頭が回らなかったりパニックになってしまっては元も子もない。当日の気温や天気を見通した上で、体調を整えることが求められる。

判断基準は「得られる期待値」に置こう

漫画ドラゴン桜2 15巻P45『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 得意分野を固めるべきか、苦手分野を克服するべきかを今になって悩む人は多いだろう。個人的には、「その勉強をしたことによって得られる得点の期待値」を元に考えるべきだと思う。1週間で95点を100点に上げるのと、60点を65点に上げるのでは、後者の方が簡単だろう。

 また、文系科目における選択問題も考える必要がある。4択や5択の問題は、理論上20〜25%の確率で正解できる。一方で理系科目における数値を直接マークするタイプの問題はそうはいかない。たとえ全く勉強をしていなくても一定の確率で正解できる問題と、一夜漬けでは対応しづらい計算問題、どちらを優先すべきかは個人の判断だ。

 さらに、1問あたりの配点もカギになってくる。例えば国語では1問あたり6〜8点の高得点の問題が少なくない。対して、英語や理科・社会では2〜3点の問題も多い。1問8点の4択問題の期待値は2点だが、実際には0点(不正解)か8点(正解)だ。であれば、その代わりに社会の知識問題を詰め込んで数点をもぎ取ろうという考えもあるだろう。

 くりかえすが、試験当日は実力が大きく変動することはまずない。「本番」というイレギュラーな環境だけが平等に与えられる。その中で、想定しうるリスクに前もって準備しておくことが重要だ。電車が遅延したらどうするか。代わりの交通手段を調べておくことや、大学入試センターの対応原則を把握しておくことだけでも安定剤になる。

 奇跡を信じず、起こりうるリスクに備えることでメンタルを安定させ、普段の勉強を継続する。それが1週間でできるわずかなことだ。

漫画ドラゴン桜2 15巻P46『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 15巻P47『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク