高成長を支えた液晶ガラス事業に依存した収益構造から、どのように脱却するのか。新興市場と次世代商品の拡大戦略について聞いた。

旭硝子社長 石村和彦 <br />ブラジルと東南アジアを重点開拓 <br />電子ガラスの収益は転換を迎えたPhoto by Toshiaki Usami

──約400億円を投じるブラジル進出の進捗はいかがですか。

 工場は今年第4四半期(10~12月)中に稼働予定で、並行してマーケティングを進めています。

 建築ガラスについては、今は欧州で作ったものをブラジルに持ってきて営業をかけています。遮熱ガラスや、来年はコーティング設備も導入してLow-Eガラスも作っていく予定です。

 自動車ガラスのほうはすでにいくつかのお客さんから注文を頂ける状況になっています。ガラスサプライヤーは1社(仏サンゴバンと英ピルキントンの合弁会社)しかなかったわけですから、自動車メーカーにとっても購買の幅が広がります。こちらも商品の差別化として遮熱性能や紫外線カットなどの機能を仕掛けていきます。

──7月、東南アジアの地域統括拠点を設ける狙いは何ですか。

 東南アジアは得意な地域ですが、事業別・国別に展開してきた経緯があります。2015年にはフリートレードになるので、横串を刺して全体の面として捉えていかなければなりません。

 また、スマートシティのような複合ビジネスがいくつか立ち上がろうとしているのに対しても、単品商売ではなくソリューションで対応する必要があります。

 ミャンマーやベトナムなど未進出国の開拓も課題です。商品と地域の幅を広げて、15年には売上高2000億円(対12年比で1.3倍)にする計画です。