その間、日本経済に関しては中国のレアアース輸出規制がさらに強まることが想定されます。5年ならなんとか耐えきれると考えるところが、10年、15年と後ろ倒しになっていったとしたら日本の産業界は耐えきれるでしょうか?

 そうならないためにはアメリカとの強力な同盟関係が必要になります。レアアースの問題では同じ課題をかかえるアメリカに、南鳥島開発の主導権を一定レベルで与えることになるのではないかというのが私の予測です。

 その視点から想定したのが「南鳥島海上に米軍基地」というシナリオです。

 この想定で参考にしたのが中国が南沙諸島に建設した人工島です。南シナ海での領有権争いに際して中国が7つの岩礁を大規模に埋め立てて、10数平方kmもの人工島を造成し、軍の拠点としたのです。

 ただ南鳥島は日本の領海ですから、日本人の私としては恒久的な基地を設置してほしくはありません。

 やんわりとしたシナリオとしては、アメリカ企業が南鳥島のレアアース泥採掘に合弁の形で参加して、その企業の設備を守るために用心棒としてアメリカ軍が南鳥島近海を守ってくれるのがベストだと思います。

日本が脱中国を実現できない
“身も蓋もない理由”

 ただこの話、もうひとつ別の要素があります。これが後述するといった3つめの問題です。南鳥島のレアアース泥だけでは西側諸国が必要とするレアアースすべてはまかなえないのです。

 たとえばわかりやすいのはリチウムです。EVを筆頭にリチウムの需要は世界的に非常に大きくなっていますが、このリチウムは南鳥島の海底にはそれほど多くは存在しません。

 リチウムの開発はアメリカも重要視していますが、環境問題がボトルネックとなって北アメリカ大陸でもリチウムの開発計画は進まないのが現状です。

 ではトランプ大統領はこの問題をどう突破するのでしょうか?ひとつのアイデアは太平洋上の人工島にさまざまなレアアースの精製工場を建設することです。

 これは南鳥島ではなく、むしろアメリカの排他的経済水域の中にある岩礁のほうが適地でしょう。