考え込む男性写真はイメージです Photo:PIXTA

上場企業で相次ぐ“黒字リストラ”。400人規模の早期退職募集を前に、50代社員は「退職金割増のチャンスに乗るべきか」それとも「定年までしがみつくべきか」で揺れ動いています。実は、この決断を分けるのはスキルや人脈ではありません。転職後に成功する人と、年収200万円に転落して後悔する人を分ける、“意外な条件”とは? 25年ぶりに就活を始めた筆者が、50代の生存戦略を解き明かします。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)

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転職した途端に
活躍できなる人の共通点

 東京商工リサーチによると、上場企業の早期希望退職募集の規模が2年連続して1万人を超えたそうです。直近の2025年の特徴は業績好調な企業の構造改革、つまり黒字リストラが目立つことだといいます。

 個人的な話ですが、たまたま私も25年ぶりに就活をはじめたところです。60歳過ぎて思い立ったのですが、その話も含め、50~60代が今のような時代に転職すべきなのかについて記事にまとめてみたいと思います。

 そもそも黒字リストラを行う大企業が辞めてもらいたいのはどのような人だと思いますか?経営者の本音は読者の皆さんの想像とちょっと違うと思います。

 というのも黒字リストラを行う企業の狙いはシンプルです。「量」を減らすのがゴールです。正確に言えば固定費の量、これがどれくらいのスピードで削減できるかが優先されます。ですから希望退職では人数目標が「400人」のように提示される場合が多いのです。

 そのため50代社員が希望退職に応募すると会社は喜びます。人数も固定費もどちらの目標も一歩達成に近づくからです。上司はその人に辞めてもらうと困るかもしれませんが、会社からみれば構造改革のスピードが重要です。

 同時に大企業の経営者は「おいしいとこ取りなどできない」ことを知っています。ですから優秀な50代人材が辞めると言い出して応募しても、会社は普通に受け入れるのです。

 では仮に読者のあなたが50代だったとして、目の前に早期退職募集という「機会」があった場合、その話に乗るべきでしょうか?それとも誘惑にのらずに会社にしがみつくべきでしょうか。

 上場大企業の典型的な早期退職パッケージの内容はたとえば電機メーカーではこんな感じです。50代で年収800万円、定年でもらえる退職金が3000万円だとします。あと10年正社員として勤めるとして10年間の年収と退職金を単純合計すれば1億1000万円が会社から支払われます。

 それに対して早期退職に応募するとたとえば年収の3年分が退職金に積み増されます。この例だと今辞めれば退職金が単純計算で5400万円になります。退職金なので所得税や住民税は低くなりますから、おそらく手取りは4700万円ぐらい。かなりまとまったお金と、これから先10年間、自由なキャリアが手に入ります。

 それであなたは早期退職を選ぶべきなのか、それとも会社にしがみつくべきなのか?ここが問題です。