電力事業に乗り出す巨大テック、リスクも増大Photo:Ron Jenkins/gettyimages

 テクノロジー大手は電力供給を待ち続けることにうんざりしている。しかし、将来的な電力を確保するということは、より多くの初期リスクを負うことを意味する。

 AIデータセンターの増設を巡る競争は、既存の電力網を圧迫する一方で、世界最大手のテクノロジー企業の野心的な計画にとって足かせにもなっている。AIシステムは一般的なサーバーやその他のコンピューティング機器よりもはるかに多くのエネルギーを消費するが、新たな発電施設は一夜にして建設できるものではない。その結果、広告のクリックやソーシャルネットワークの「いいね」を促すことで知られてきた企業が、今や電力事業へと乗り出している。

 グーグルの親会社アルファベットは先月、再生可能エネルギー開発会社インターセクト・パワーを、負債引き受けを含め47億5000万ドル(約7500億円)で買収するという画期的な合意に至った。テクノロジー企業がエネルギー開発会社を自社内に取り込む初のケースとなる。この案件はエネルギー業界にとって驚きだった。エネルギー調査会社ウッド・マッケンジーの電力・再生可能エネルギー分野コンサルティング部門ディレクター、プラシャント・コラナ氏は、「市場は常に(テクノロジー企業は)外部委託(アウトソーシング)すると考えていた。開発業務は不動産ビジネスのように細かい実務が多すぎるからだ」と述べた。

 他のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)はそこまで踏み込んではいないものの、エネルギープロジェクトへの関与を強めている。アマゾン・ドット・コムは破産手続きに基づく競売で最近落札した、開発段階にある1.2ギガワット(GW)規模の蓄電設備付き太陽光発電プロジェクト(オレゴン州)を買収する見通しだ。アマゾンは2024年には、小型モジュール炉(SMR)開発企業Xエナジーが手がけるプロジェクトの初期開発資金を提供することで合意しており、同社の株式も保有している。またメタ・プラットフォームズは先頃、オクロとテラパワーによるSMR開発に資金を提供すると発表した。

 これは、テクノロジー企業が過去のエネルギープロジェクトで果たしてきた、より受動的な役割からの転換だ。従来の仕組みでは、開発業者と外部投資家(多くの場合、インフラファンドや銀行)がプロジェクトの開発と建設のリスクを負い、信用力の高いテクノロジー企業の電力購入契約によって資金調達が支えられていた。この仕組みは数年前までは問題なく機能していた。テクノロジー企業は当時、差し迫った電力需要を満たすためというよりも、環境配慮の実績を得るために時折、電力購入契約を行っていたからだ。