今、シリコンバレーをはじめ、世界中で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも「最重要な仕事の原理原則の一つ、焦らず騒がず他人と比較せず、自分にとって重要なことほどゆっくり構えるヒントになる本」「ただの投資本ではない画期的な哲学書」と絶賛されているのが『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』(スコット・ギャロウェイ著/児島修訳)だ。本書についてライターの小川晶子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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一生懸命働くという美徳
真面目に一生懸命働くことは美徳とされている。
長時間仕事をしているほど、「人格者」なのではないかという気がしてしまう。
普通ならサボったり、途中で切り上げて飲みに出かけたりしたいところを、ひたすら仕事に向かっている姿を見れば、「すごい、自制心がある」と尊敬の念を抱く。
私は長時間労働を続けられるほど集中力も体力もないのだが、「一生懸命働いていると思われたい」という気持ちは人一倍持っている。
そこで、(20年近く前の話だが)会社員をしている頃はなるべく残業をして人格者に見えるよう努力していた。
周囲も同じような人がいて、残業時間の長さを競う。休日出勤もする。
しかし、当然ながら長時間働けばいいというものではない。
残業代が多少入ったところで、私はいっこうに豊かになれなかった。
たいした貯蓄もないうえに、家の中はグチャグチャでため息が出る。
ときどき「自分へのご褒美」をやたらと買っていたのも原因の1つかもしれないが、それだけではなさそうだ。
「ハードワーク=人格者」はウソ
ベストセラー『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の中で、ビジネススクール教授のスコット・ギャロウェイ氏は、「長時間働いている人自制心があり、高潔で、強い」というのは、ビジネス界に蔓延している「大きなウソ」だと断じている。
ギャロウェイ氏自身、モルガン・スタンレーで働いていた20代の頃は徹夜が美徳とされ、競うように長時間働いていた。
それでどうなったか?
一生懸命働いて稼いでいるのに貯蓄はなく、真の経済的自立からも、幸福からも遠ざかっていたという。
「一生懸命働いたから、いいものを買って当然」
「こんなに懸命に働いているから、貯金など必要ない。もっと稼げるようになる」
そう言い聞かせて浪費していたのだ。
かつての私とはケタが違うかもしれないが、心当たりがありすぎる。
同じようなことはあちこちで起きているのではないか。
本書にはこうある。
(――『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』p.70)
人格者どころではない。
富の方程式とは?
では、どうすれば、経済的自立を実現し、幸福になれるのだろうか。
『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』というタイトルどおり、本書には「富の方程式」が示されている。
その方程式とは、
フォーカス+(ストイシズム×時間×分散投資)
である。
「時間」と「分散投資」はなんとなくわかるとして、説明が必要なのは「フォーカス」と「ストイシズム」だろう。
人格を高めながら富を引き寄せるコツ
フォーカスとは、熱心に働き、充分な収入が得られる能力を身につけるため、最も大切なことにリソースを集中させること。
一言で言えば、「仕事に集中して収入を高める」ことを指している。
本書は、経済的自立を実現し、充実した人生を送るために「ハードワーク」を基本的にすすめている。
ただし、どこにリソースを集中させるのかが重要だ。
やみくもに頑張ればいいわけではなく、自分の才能を活かせる場で熱心に働くことで収入を高めていく。
ストイシズムとは、古代ギリシャで創始された哲学の一派(ストア哲学)である。
人格を高めることを最高の美徳としている。
そう、経済的自立を実現し、富を築くにも人格が重要なのである。
浪費や不摂生をせず、自制しながら良い習慣を身に着けることが必要だから。
「富の追求は全人格をかけたプロジェクトだ」というのがギャロウェイ氏の主張だ。
「フォーカス」と「ストイシズム」を重視しているところが、よくある投資本と一線を画している。
人格を高めながら、富を引き寄せたい人にとっては本書がバイブルとなるのではないだろうか。
(本書は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』に関する書き下ろし特別投稿です)









