「説明上手な人」が使わない“致命的な文末表現”とは?
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。
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「説明上手な人」が使わない“致命的な文末表現”がある
プレゼン資料や報告書など、ビジネスシーンでのさまざまな資料において文章が書かれ、大事な場面での説明で使われている。そのような資料における文章の中で、特に大事な一文は「1メッセージ」と呼ばれたりする。
資料でのそのような大事な一文を書くときに、説明上手な人ほど使わない“文末表現”がある。
説明上手な人ほど「体言止め」を使わない
説明上手な人ほど使わない文末表現の一つは、「体言止め」だ。体言止めとは、文末を名詞で終わらせる文章表現だ。体言止めとは対照的に、文末を動詞や形容詞などの術語で終わらせるのは、用言止めと呼ばれたりする。たとえば、体言止めとは次のような一文だ。
「販売数は昨年よりも成長」
体言止めは文字数を減らせたり、リズム感を出せたりする。
しかし、説明上手な人ほど、資料での大事な一文では文末を体言止めにしない。たとえば、わたしが以前にやっていた戦略コンサルでは、シニアなコンサルタントほど体言止めは使わず、また、プロジェクトによっては資料上の文章の体言止めが禁止なものもあった。
「体言止め」は言葉数が少ないのにノイズが発生する
説明上手な人ほど、資料での大事な一文では文末を体言止めにしない理由は、体言止めは言葉数が少ないのにノイズが発生するからだ。
たとえば、説明資料の大事な一文で、先ほどの「販売数は昨年よりも成長」と書いてあったとする。これはどのような意味だと解釈できるだろうか。用言止めで考えてみると、少なくとも次のような解釈はありえるだろう。
「販売数は昨年よりも成長する」
「販売数は昨年よりも成長させたい」
「販売数は昨年よりも成長させる」
これらの差は言葉数としては僅かだ。しかし、伝えられた人にとっての意味は大きく異なる。「販売数は昨年よりも成長する」だと、客観的な予測のように聞こえ、誰が成長させるのかは曖昧だ。「販売数は昨年よりも成長させたい」だと、説明者が成長させようとしていることはわかるが、願望になっていて弱含みな印象を受ける。「販売数は昨年よりも成長させる」だと、説明者の強い意志を感じる。
ここで大事なのは、体言止めだと、これらのどの解釈が正しいかは伝えられた側にはわからないことだ。体言止めは、このように解釈の幅があり、どう解釈するかは曖昧になって相手任せになってしまうのだ。結果として、体言止めで言葉数は減っているものの、相手の情報処理においてさまざまな解釈をノイズとして発生させ、意味をピンボケにしてしまうのだ。
大事な一文では「体言止め」は使わずに、言い切ろう
「体言止め」は相手にさまざまな解釈を発生させて、意味をピンボケにしてしまう。物事を曖昧にしたいときには有効だが、はっきりと伝えたい大事な一文には適さないのだ。
また、それだけではなく、「体言止め」は説明者の意志を宿らせにくい。たとえば、先ほどの「販売数は昨年よりも成長」という体言止めは他人事のように聞こえるが、「販売数は昨年よりも成長させる」だと説明者の意志を感じられる。この点でも、説明上手な人は体言止めを使わずに、自分の意志を込められるように細部の文末にまで拘ったりするのだ。
たかが文末表現、されど文末表現。その文末の僅かな差によって、説明に対しての相手の解釈や印象が変わり、そこから生まれる結果が大きく変わったりもするものなのだ。
(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)









