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【オタワ】カナダのマーク・カーニー首相は約1年前に就任した際、ドナルド・トランプ米大統領と友好的な関係を築こうとした。だが同氏は現在、強硬姿勢へとかじを切っている。
カーニー氏は中国との貿易紛争を解決し、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では経済的圧力に対抗するよう呼びかけた。中央銀行総裁出身の同氏は慎重な計算をすることで知られているが、現在はカナダ経済を厳しい状況に追い込む可能性のある高リスクな賭けに出ていると、複数の政治アナリストは指摘する。
一方でアナリストは、カーニー氏には残された選択肢がないとも指摘。同氏は国境警備を強化し、合成麻薬フェンタニルの密輸抑止に乗り出したほか、軍事費も増額してきた。また米国のテック企業に影響を与えるデジタル税の撤廃なども行い、トランプ氏を懐柔しようとした。だが、いずれも効果がなかった。そうした中で、カナダ経済を支える米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の年内の再交渉に向けて、切り札が必要となっている。
米ジョンズ・ホプキンス大学でカナダ研究のディレクターを務めるクリストファー・サンズ氏は、カーニー氏が「友好的に接しようとしたが、大きな成果を得られなかった」とし、「カーニー氏は現在、自身に注目を集めるために圧力を強めている」とした。
カーニー氏はトランプ氏への戦略を転換させた理由について、多くを語っていない。だがアナリストらは二つの理由を挙げている。その一つは、USMCAを巡る協議を控え、カナダ政府が強硬姿勢を示して交渉材料にすることだ。
これは中国政府が習近平国家主席とトランプ氏による米中首脳会談を前に、重要鉱物の輸出制限を新たに設け、優位に立とうとしたのと同様の動きとなる。
オタワのカールトン大学で国際政治を教えるフェン・ハンプソン氏は、カーニー氏が「本気で立ち向かう強硬路線に出る時が来たと判断した」ようだと述べた。







