年始の「激震」で変わる世界Photo:Anadolu/gettyimages

「数十年にわたり何も起こらないこともあれば、数週間で数十年分の出来事が起こることもある」。レーニンが残したとされるこの言葉は、2026年最初の数週間を的確に表している。

 ここ一世代の間、国際関係・通商はいくつかの前提によって支えられてきた。「共通の価値観によって米国と西側の民主主義諸国は常に団結する」、「半導体から石油に至るあらゆる製品の世界的な生産体制が経済的相互依存を不可避にする」、「独立した米連邦準備制度(FRB)とアジア諸国による無限の貯蓄供給が、世界金融を正常な軌道に保ち続ける」といったことだ。

 今月、一連の「激震」がこれら全ての前提を揺るがした。これは今後何年にもわたって政治・経済情勢を一変させる可能性がある。不確実性の霧はまだ晴れていないが、何が起こり、なぜそれが重要なのかについて筆者の見解を以下に示す。

米国の「脱欧州」

 今から数年後にわれわれは、ドナルド・トランプ米大統領が世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で米国はグリーンランドを獲得しなければならないと宣言したことを、前の世代の人たちが1989年のベルリンの壁崩壊を目撃したのと同じように振り返るかもしれない。この壁の崩壊が西側の勝利を象徴したように、トランプ氏のグリーンランド獲得は、価値観で結ばれた国家の集合体としての西側の終わりを体現することになるかもしれない。

 トランプ氏は同会議の数日前に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるデンマークの自治領グリーンランドを獲得できなければ欧州に対して貿易戦争を仕掛けると約束した。米政権は軍事力の行使を排除しなかった。同氏は週末までにこの脅しを撤回したが、グリーンランド獲得という目標を正式に放棄したわけではない。