一度切りの人生で「お金」をどう使えばいいか? その問いに答えを与えてくれる世界的ベストセラー『アート・オブ・スペンディングマネー』が話題だ。仕事は忙しく、収入も安定している。そんな世間的には「うまくいっている人」でも、話をしてみると、仕事以外の話題がほとんど出てこないことがある。本人もどこか、満たされなさを抱えているように見える。「収入」より大切な「お金の使い方」とは何か。今回は、本書の内容を紹介しながら、そのポイントを紐解いていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
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あるビジネスパーソンと漁師のやり取り
お金について考えるとき、多くの人はこう思っている。
「多いほうがいい」「余裕があるに越したことはない」。
もちろん、それ自体は正しい。しかし、「何のために稼ぐのか」を考えないまま、稼ぐこと自体が目的になると問題が生じる。
ただ稼ぐことだけに人生を費やし、幸せや充実感を得られない可能性もある。
お金の使い方に関する世界的ベストセラー『アート・オブ・スペンディングマネー』では、「もっと多く」のお金を稼ごうとする人を皮肉した小話が紹介されている。
「残りの時間は何をしてるんだ?」とアメリカ人は尋ねた。
「遅くまで寝たり、家族と遊んだり、本を読んだり、昼寝をしたり、友達とギターを弾いたりしているんだ」と漁師は言った。
「君のやり方は根本的に間違っている。いいことを教えよう」とアメリカ人は言った。「一日中働くんだ。それから、借金して船をもう一隻買う。他の漁師を雇って働かせればいい。10年もすれば、引退できるほどの金が稼げるぞ」
「引退したらどうなる?」漁師は尋ねた。
アメリカ人は答えた。
「遅くまで寝たり、家族と遊んだり、本を読んだり、昼寝をしたり、友達とギターを弾いたりできるようになるぞ」
この話が私たちに問いかけるのは、「何のために稼ぐのか」ということだ。この話に登場する漁師のように、もしかしたら幸せを得るために必要な額はすでに稼げている可能性もある。
「何のために稼ぐのか?」を考えて稼ぎなさい
いくら収入を上げても、稼ぐこと自体を目的にしていれば幸福度が増すことは少ない。お金の価値は、金額そのものではなく、それによって人生の何が変わるのかにある。
・時間の使い方が変わるのか
・人間関係が変わるのか
・不安が減るのか
・選択肢が増えるのか
こうした稼ぐ目的を明確にすることで、ようやくお金は、あなたの人生にとって意味のあるものになる。
『アート・オブ・スペンディングマネー』では、「お金は道具である」と繰り返し伝えられている。大切なのは「どれだけ稼ぐか」ではなく、「何のために稼ぐのか?」「稼いだ金を何に使うか?」である。
もっと多くのお金を稼ぐことを考える前に、その目的や使い道を考える。それこそが、お金を上手に使って、幸せな人生を歩むコツなのかもしれない。
(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)





