高級車に乗る人を見て「成功者だ」と思うのは早計かもしれない。人生を豊かにするための「お金の使いこなし方」を解き明かした世界的話題作『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』は、人は“自信のなさ”を隠すために高価なモノへ走りやすいと語る。では、なぜそれが起きるのか――。今回は、本書の一部抜粋して紹介する。

なぜ高級車に乗る人ほど、自己肯定感が低いのか?Photo: Adobe Stock

人は「自信のなさ」を高いモノで補おうとする

人は、お金で買える物の快適さや便利さよりも、それによって得られる他人からの注目を重視している。

この考えにどれくらい納得するかは、人によって違う。「良い物を求めるのは、本当は周りから注目を集めたいから」という考えを認めたとしても、「だからどうした? 私が本心では尊敬や注目を求めていたとして、良い車を買うことでそれが得られるなら、何が問題なのか?」と考える人もいるだろう。

たしかに問題はないのかもしれない。それでも、次の点は覚えておいてほしい。

人が派手な物を他人に誇示したいのは、それが尊敬や称賛を得るための「残された最後の」、あるいは「唯一の」手段だから、というケースがあるということだ。

知性やユーモア、共感、愛情深さで尊敬や称賛を得るのに苦労している人は、残された唯一の(そして最も効果の低い)手段に頼ってしまう。

つまり、高価な物を買うことだ。そして高級車に乗り、心の中でこうささやく。

「私はすごい車に乗っている。さあ、注目して!」

(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)