「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」‥‥‥。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

「なんで勉強するの?」「大人ってずるくない?」――子どもの答えにくい質問にどう答える?Photo: Adobe Stock

答えにくい質問は「世界を理解しようとしている」サイン

 子どもは、ときに大人をハッとさせるような質問を投げかけてきます。

「なんで勉強しなきゃいけないの?」
「どうして働くの?」
大人ってずるくない?

 一見すると答えにくいこれらの質問。しかし、これらは、子どもが世界を理解しようとしているサインでもあります。

 こうした問いに対して、私たち大人はつい正解を教えようとしたり、逆に「そんなこと聞くもんじゃない」とはぐらかしたりしがちです。

 しかし、それではせっかく芽生えた好奇心や思考の芽を摘んでしまうかもしれません。
 たとえば、「なんで勉強しなきゃいけないの?」という問いに対して、「将来困らないためだから、とにかく勉強しておけばいいんだよ」という答えは、子どもの心には響きません。

 そんなときは、あえてこう言ってみるのです。
それ、すごくいい質問だね。ユウは、どう思う?」と。

 子どもと一緒に「勉強ってなんのためにあるんだろうね」と考えてみる。
「誰かに何かを伝えるとき、言葉を知ってたら便利だよね」「計算ができると、お金のやり取りがしやすくなりそう」「好きなゲームをつくるには、プログラムの知識がいるかもしれない」。
 こんなふうに、日常に結びつけながら、言葉を交わしていくことで、子ども自身も、自分の頭で考え、言語化するプロセスを踏むことができます。

「大人ってずるくない?」には、どう返す?

「大人ってずるくない?」という鋭い問いには、ドキッとするかもしれません。しかし、これもチャンスです。
「どんなときに、そう思った?」と返せば、子どもは自分の感じたことを言語化しようとします。そこから「子どもと大人の違いってなんだろう」「ルールは誰のためにあるんだろう」など、対話の幅もぐんと広がっていきます。

 大切なのは、完璧な答えを返すことではありません。むしろ「それ、パパ(ママ)もよくわからないなあ。一緒に考えてみよう」と伝えることで、子どもは「考えていいんだ」「言葉にしていいんだ」と安心します。

 問いは、子どもが自分の世界を広げるきっかけ。大人がすべきは、答えを与えることではなく、「一緒に言葉を育てること」です。そうすることで、子どもは「考える力」と「伝える力」の両方を自然と身につけていきます。

 拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』には、親子や子ども同士でできるゲームを通じて、「気持ちや考えを言葉にするプロセス」が育つ遊びをいくつか紹介しています。ぜひ気軽にやってみてください。

 *本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。