旅行者写真はイメージです Photo:PIXTA

2月17日の春節(旧正月)に向けて中国では延べ95億人の大移動が始まっているが、訪日旅行は昨年に比べると大きく減るだろう。しかし中国人の訪日自粛が、日本の観光業界に与える影響は軽微で、むしろ中国側にダメージをもたらすはずだ。その理由を、航空業界の実情と、ネットのキーワード分析も紹介しながら述べよう。(ライター 前林広樹)

中国人観光客の減少
「日本側のダメージは少ない説」を検証

 高市首相の台湾有事に関する発言を発端に、中国側が訪日観光の自粛を呼びかけてから丸3カ月がたとうとしている。当初は、今や日本経済を支えるインバウンド産業に打撃を与えるとして、団体客のキャンセルに困るホテルが報道されるなど不安視する声が相次いだ。

 しかし筆者は、中国人の訪日自粛が日本の観光地に与える影響は軽微で、むしろ中国側に大きな悪影響をもたらすと考えている。その理由を各種データも紹介しながら述べたい。

 日本経済新聞が日本で宿泊した外国人客の中国人比率を都道府県別に調べたところ、2025年1~9月は静岡県が45.0%で最も高かった。中国人に人気の富士山があり、東京と京都・大阪をつなぐ「ゴールデンルート」上に位置するからだ。

 一方で、静岡経済研究所によると訪日外国人の静岡県訪問率は3.5%(2024年)、訪問者数は推計126万人。そして、「観光交流の動向」(静岡県)によると同県の宿泊客数(24年)は日本人を含めた全体で1950万人だった。

 つまり、静岡県全体の観光客に含まれる中国人の割合は数%程度の微々たるものだと推測できる。この程度なら韓国や台湾、欧米、あるいは日本人観光客を増やすことで穴埋め可能だろう。

 すでに県内では、例えば熱海市が旅行大手エイチ・アイ・エスと組んで台湾人観光客の誘致に動いている。また、韓国LCCのエアプサンが釜山から、ベトナムLCCのベトジェットがハノイから静岡空港への路線を開設することを決めた。

JALやANAも影響は少ない?
とはいえ「もったいない枠」とは

 もっと全国的に航空業界への影響を見てみよう。結論からいうと、日本側の損害は多くない。