すると、部下は報告業務に追われるとともに、管理されることに慣れていきます。自分で考え、判断する力は、次第に失われていきます。

 必要なのは管理ではなく、規律を前提にした自由です。一定の枠を守ることを前提に、仕事の進め方は裁量に任せる。その「規律の中の自由」があってこそ、部下の判断力や能力は育ち、本来の力が発揮されるはずです。

 この規律が守られるかどうかは、制度以前に人の問題です。採用の段階で、規律を守れる人物かどうかを見極めているか。場合によっては、前職の会社に問い合わせることも必要です。

 さらに言えば、上司自身が日常的に規律を守っているかどうかが大きく影響します。上司が守っていない規律を、部下にだけ求めてもうまくはいきません。

部下が伸びるかどうかは
上司の任せ方にかかっている

 もう一つ重要なのは、上司が部下の長所を見極め、その力が発揮される役割や仕事を任せているかどうかです。

 人は短所を矯正され続けると、やる気を失っていきます。短所を矯正しても「普通」になるだけです。一方で、規律を前提に一定の裁量が与えられ、自分の強みを発揮できる状況に置かれたとき、人は高い成果を上げます。能力の有無ではなく、上司が任せ方を誤っていないかどうかが、結果を分けると考えています。

 上司と部下の間には、相性の問題が生じることもあります。これは、上司側だけでなく、部下側にも起こり得るものです。ただ、相性が合わないからといって、上司が接し方を変えてよいわけではありません。上司には、相性にかかわらず、公平・公正に部下と向き合う姿勢が求められます。

 部下の側は、たとえ上司との相性に違和感があったとしても、仕事である以上、自分に与えられた役割に全力を尽くす姿勢は欠かせません。相性の問題を理由に仕事への向き合い方を変えてしまえば、結果的に自分のパフォーマンスを発揮する機会や成長機会を失うことになります。

 えこひいきや不公正な扱いが常態化している場合は話が別です。それは個々の相性や努力の問題ではなく、組織としてのマネジメントの問題だといえます。上司個人の資質に委ねるのではなく、組織としてその不公正を是正すべきです。