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デジタル技術の進展により、便利な社会になりました。しかし、そうしたテクノロジーの進化は「私たちの考える機会」を奪っている側面もあります。気づかぬうちに思考力が衰えてしまっているかもしれません。(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
「考えが浅い人」が
増えているワケ
複雑系のビジネスの現場において、「考えが浅い」と感じる人が増えています。その背景には、本人の怠慢だけでなく、時代の変化があるように思えます。
今の社会はあまりに便利になりすぎて、私たちから「考える機会」そのものを奪ってしまっているのです。
例えば電車に乗るとき、昔なら駅に掲げられた複雑な路線図を見て経路と運賃を調べ、切符を買い、お釣りを確認し、小さな切符を失くさないように気を配っていました。
ところが今は、乗り換えアプリを開けば一瞬でルートが調べられて、改札ではICカードやスマートフォンをかざすだけ。ICカードにチャージさえされていれば、運賃を知らなくても乗車できます。
分からないことはAIに聞けばすぐ答えが出る。レポートだってAIがつくってくれる。そんなに考えなくても生きていける環境の中で、人はどんどん「考えないこと」に慣れてしまいました。
考えないことに慣れてしまうと、人は次第に「考えられない人」になっていきます。
思考力は筋肉と同じで、使わなければ衰えます。普段から走る練習をしていない人が、突然速く走ろうとしても走れないように、日頃から考える習慣を持たない人は、いざという時に深く考えることができません。
その結果、「考えが浅い」と見なされてしまうのです。







