31、32歳の頃。採用のリーダーを務めていたとき、当時の上司、DeNA創業者の南場智子さんに言われた言葉が今も胸に残っている。「もっとワガママに仕事をしないとダメ」――南場さんが意図することとは何だったのか。(山田進太郎D&I財団 COO 石倉秀明)
DeNA創業者・南場智子さんの
部下として働いて学んだこと
「石倉はさ、頑張っていると思うよ。でももっとワガママに仕事しないとダメだよね。ワガママさが足りない」――。
これは筆者が、当時上司だったある有名経営者に言われた言葉である。
私は以前、DeNAで人事、特に採用の責任者を務めていた。同社は創業以来、採用に並々ならぬ情熱を傾けてきた。「採用のため」と言えば、役員のどんな予定でもずらせるくらいだった。
私が採用の責任者をしていた2013~14年頃、採用グループの直属の上司を務めていたのが、創業者の南場智子さんだった。当時すでに2000人規模の会社になっていたにもかかわらず、創業者が直接採用に携わっていたのだから、その熱量がいかに高かったのか、わかっていただけると思う。
南場さんは今は横浜DeNAベイスターズのオーナーとしても有名かもしれないが、以前からビジネス界では超有名人であり、大物経営者の一人と言っていいだろう。
そんな南場さんが直属の上司だったのは約1年半だったのだが、当時は週2で定例があったり、面接や会食に同席したりとかなりの時間を一緒に過ごさせてもらった。この経験は、現在の私の仕事観に大きな影響を与えた。
当時、人事として中途採用、新卒採用どちらも担当したのだが、新卒採用の責任者を務めていた時は、南場さんとほぼマンツーマン体制で、全ての戦略やオペレーションまでを決めていった。