現代の外食は「失敗したくない」という思いから、他人の評価やコスパに縛られがちです。しかし本来、食は自分自身の価値観で楽しむべきもの。話題の書籍『美食の教養』は、イェール大卒・世界128カ国を食べ歩いた浜田岳文氏が、歴史や経済、文化、また作り手であるシェフの視点から「食の本質」を解き明かす一冊。単なるガイド本ではなく、情報過多な時代に「人生をより豊かにするための美食」を提示します。今回はそのエピソードを特別公開します。(ダイヤモンド社書籍編集局)

【美食家がこっそり教える】予約が取れないお店に行く方法Photo: Adobe Stock

「一見さんお断り」の店が
日本に異常に多い理由

 日本、特に東京を食べ歩くうえでぶつかる最大の困難は、予約が取れない店がたくさんあるということでしょう。

 ミシュランガイドの対象外になるような完全紹介制・会員制のお店だけで、もしかしたら100軒近いかもしれません。

 クラウドファンディングが広まり、会員でないと予約が取れない店が増えたことも一因だと思われます。

 中には、紹介制・会員制であることを売りにしている中身が乏しい店もありますが、東京で最高峰のお店の多くが完全紹介制であることは事実です。これほど、予約が取れない店が多い国は、世界で他にありません。

世界最高峰の店でも「予約不可」は50軒もない

 海外の場合、ジェントルメンズクラブなどレストランではない業態を除けば、完全紹介制・会員制のレストランというのはほとんどありません。

「世界のベストレストラン50」(The World's 50 Best Restaurants)にランクインするお店で、どれだけ頑張っても予約が取れないお店は何軒あるでしょうか。

 上から順(2024年当時)に見ていくと、スペインの「ディベルソ」「アサドール・エチェバリ」は確かに相当難しい。コペンハーゲンの「アルケミスト」、そして殿堂入りしている「ノーマ」。フランスでほぼ唯一予約が困難なのが、パリの「プレニチュード」。ここも、宿泊しない限りは相当難しい。これでほぼすべてです。

 あとは、予約が不可能ではないものの困難なお店や、わざわざ国外から行く必要がない地元民向けのお店が、世界で数十軒ある程度です。

 つまり、日本を除く世界中で合計50軒もないと思います。だから、早めに予定を立てて、予約開始日にオンラインで予約をすれば、大体のお店は確保できます。

コネなしで席を勝ち取る「裏ルート」とは?

 では、日本で予約が取れないお店に行くにはどうすればいいか。

 一番の近道は、そういうお店を食べ歩いている人たちのコミュニティに入ることです。

 主にフェイスブックやLINEでグループを作っていることが多いのですが、そうしたコミュニティでは、「予約を取ったけど行けなくなったので、誰か行けませんか」「6人の席を予約しているので、残りのメンバー募集をします」という投稿が頻繁に飛び交います。

 こんなに予約困難店の募集が出るのか、と驚くこともしばしばです。こういう予約にのっかると、自分でトライしても予約が取れない店に、思いのほか簡単に行けてしまうのです。

 そういうグループに招待してくれる食べ歩き仲間がいないという方は、「Foodies Prime」がおすすめです。これは、アプリ上で食事会のメンバーを募集できる無料サービスです。

 こちらでも、つてがないと絶対予約が取れないお店が常時多数掲載されています。ソーシャルメディアになっているので、幹事や他の参加者がどういう人かプロフィールを確認できる安心感もあります。

 また、有料コミュニティだと、「TERIYAKI美食倶楽部」があります。グルメアプリのTERIYAKIが運営しているのですが、月に20~30回程度、人気店で食事会が開催されています。

「人見知り」でも常連の輪に入る意外なテクニック

 また、僕は人見知りなので得意ではありませんが、食べに行ったお店で他のお客さんと仲良くなるのもひとつの方法です。

 海外在住のフーディーは、こうやって日本に食べ歩き仲間を作っている人がたくさんいます。また、自分が好きで通っているお店の大将やシェフが、他のフーディーを紹介してくれるということもあります。オープンな気持ちで食べ歩いていると、自然とこういうつながりは増えるものなのです。

 気が合う食べ歩き仲間が増えると、予約困難店に席を持っている人とつながる可能性も高まるでしょう。

 また、仲間がいることで、先々の予約が取りやすい、というメリットもあります。

 店によっては1年以上先の予約を取る必要がありますが、予定が決まっていなくて、行けるかどうかわからない。そういうときも、万が一行けないときは仲間の誰かに行ってもらう、という形にしておけば安心です。

 お店によっては、本人じゃないとダメ、という場合もあるので要注意ですが、知らない第三者に予約を譲るのではなく何人かの仲間内の誰かが来る、ということであれば、お店側としても安心感があるかと思います。

(本稿は書籍『美食の教養 世界一の美食家が知っていること』より一部を抜粋・編集したものです)

浜田岳文(はまだ・たけふみ)
1974年兵庫県宝塚市生まれ。米国・イェール大学卒業(政治学専攻)。大学在学中、学生寮のまずい食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始。卒業後、本格的に美食を追求するためフランス・パリに留学。南極から北朝鮮まで、世界約128カ国・地域を踏破。一年の5ヵ月を海外、3ヵ月を東京、4ヵ月を地方で食べ歩く。2017年度「世界のベストレストラン50」全50軒を踏破。「OAD世界のトップレストラン(OAD Top Restaurants)」のレビュアーランキングでは2018年度から7年連続第1位にランクイン。国内のみならず、世界のさまざまなジャンルのトップシェフと交流を持ち、インターネットや雑誌など国内外のメディアで食や旅に関する情報を発信中。株式会社アクセス・オール・エリアの代表としては、エンターテインメントや食の領域で数社のアドバイザーを務めつつ、食関連スタートアップへの出資も行っている。