米株市場が不安定化 「退屈」に投資すべきかILLUSTRATION: ALEX NABAUM FOR WSJ

「退屈」な銘柄が復活している。

 足元では米ソフトウエア株などのリスク資産が人工知能(AI)によって打撃を受けたが、代わりに地味な銘柄が気を吐いている。

 多くの投資家は、AIのリスクを回避して大型テック株へのエクスポージャーを減らし、それでもなおまずまずのリターンを得るために「退屈」な銘柄のポジションを増やしている。

 だが、手を出す前にトレードオフを理解しておく必要がある。短期的には、「退屈」な銘柄に投資していれば心穏やかに眠れるだろう。だが長期的といった場合、予想以上にそれは長期かもしれない。

 このところ特に売られているのは、2025年に絶好調だった銘柄の一部だ。同年の上昇率は、株取引アプリを手掛ける米ロビンフッド・マーケッツが204%、データ分析の米パランティア・テクノロジーズが135%、広告主支援ツールを手掛ける米アップラビンが108%だった。26年に入ってからそれぞれ36%、27%、44%下落した。

 一方、米小売り最大手ウォルマートや米会員制量販店のコストコ・ホールセール、米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、米飲料大手コカ・コーラといった「退屈」な定番銘柄を組み入れた上場投資信託(ETF)「ステート・ストリート・コンシューマー・ステープルズ・セレクト・セクターSPDR」は12%上昇した。これは過去4年間の合計リターンとほぼ同じだ。ウォルマートの時価総額は先週初めて1兆ドル(約157兆円)を突破した。

 また、価格変動が市場全体より小さい銘柄に特化したETF「インベスコS&P500低ボラティリティー」は5%近く上昇。同様のファンド「iシェアーズMSCI米国ミニマム・ボラティリティー・ファクター」は1%近く上昇した。一方、S&P500種指数は年初来で1%近く下落した。

 これら「低ボラ」ファンドは、S&P500種連動型ファンドのように資産の3分の1を少数の大型テック株に投資するようなことはしない。代わりに好むのは公益、金融、生活必需品株など、以前は「退屈」だった業種で、保有しているのは廃棄物処理サービスの米ウェイスト・マネジメント、スイスの保険会社チャブ、米不動産投資会社リアルティ・インカム、米日用品大手コルゲート・パルモリーブ、産業ガス大手リンデなどだ。

「多くの点でこうした銘柄は注目されておらず、それは長期投資家にとって利点になり得る」。米資産運用大手ブラックロックの米国株式ETF責任者ジェイ・ジェイコブス氏はこう話す。