「現状を認める」だけで信頼は生まれる

部下が求めているのは、必ずしも「同意」ではありません。「自分の現状(考えや感情)が、上司に正確に認識された」という「理解」です。

「あなたの言っていることは分かった(=受け止めた)。その上で、会社としてはこういう判断になる(=肯定はしない)」

このように切り分けることができれば、マネジャーは精神的な負担を負わずに相手の話を聞き続けることができます。そして部下も「自分の存在や現状を否定されなかった」と感じるため、その後の指導やフィードバックを受け入れやすくなります。

リーダーとしてのメリット

この「すべてを受け止める覚悟(ただし肯定はしない)」を持つことには、リーダーにとって大きなメリットがあります。

メンタルの安定:感情移入しすぎず、プロとして冷静に話を聞くことができます。
情報の質の向上:部下が否定される恐怖を感じないため、悪い報告や本音も上がってきやすくなります。
指導力の向上:まず相手の現状(現在地)を認めることで、そこから目的地への適切なナビゲートが可能になります。

まずは1on1や面談で、「良い・悪い」の判断を少しだけ横に置き、「今はそう考えているんだね」と、部下の現状をそのまま鏡のように受け止めることから始めてみてはいかがでしょうか。それだけで、場の空気は驚くほど変わるはずです。

※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。