まず1つは、ともかく披露宴は短く、2時間以内に。結婚式の長いスピーチには飽き飽きしていたのだろう。そして政治家を招待するなと言う。しかし、式が大きくなると人の出入りや料理の出し引きだけでも時間がかかる。招待客の人選を絞るほかない。それでも招待客420人のそこそこ大きな式になってしまった。大きな式場では何が起こっているのか遠くの席では分からない。そこで僕は、会場の両端に大きなビジョンを入れることにした。式の進行をカメラで捉え大画面に映せば、会場の全員がライブを楽しめる。知り合いの制作会社の社長に相談すると、テレビ中継車を宴会場に横付けした方が手っ取り早いとトントン拍子に話が進んだ。

 披露宴の開宴2時間前にスタッフミーティングを行う。司会は当時『スーパーニュース』でご一緒していた、フジテレビアナウンサーの須田哲夫さんと西山喜久恵さんにお願いした。式場を走り回るアシスタントディレクターやフロアディレクターもいつも番組で顔なじみの人ばかり。そして僕はプロデューサーであり監督であり主演男優だ。

 ぶっつけ本番の一発撮りの2時間ドラマの撮影と言う覚悟で式に臨んだ。僕はテーブルの上の進行表をながめ、時間が押してくるとフロアディレクターを呼んでテレビ局の社長だろうが大学医局の教授だろうが、渡哲也さんの祝辞にも巻きを入れた。

 もう1つの指令は、親父の席。披露宴の主役は花嫁花婿。そして祝ってくれる招待客の皆さん。親兄弟はそれを遠くから見守ると相場は決まっている。しかし親父は、自分の宴席が端っこなのが気に入らない。もっと宴を楽しめる席を確保しろという。伊勢路であれだけ一緒に楽しく盛り上がった仲なのだから、赤坂でも一緒に盛り上がろうと僕も覚悟を決めた。

新郎新婦の高砂テーブルに
両親も一緒に並ぶ非常識な演出

 両家の主賓席の第1テーブルや第2テーブルになんてケチなことは言わない。どうせなら正面の花嫁花婿が並ぶ高砂テーブルに一緒に並んでしまえばいい。下手から稲田家のご両親、花嫁、花婿、石原家の両親という、6名が横一列に長いサミットの記者会見のような高砂テーブルが出来上がった。招待客の皆さんはどう思われたのだろうか。「慎太郎さんの家なら、さもありなん」と親父を知る人は理解できたかもしれないが、「なんと非常識な」と新婦側の皆さんは驚かれたに違いない。