モームリPhoto:Diamond

退職代行サービス「モームリ」の運営会社の社長らが弁護士法違反の容疑で警視庁に逮捕された。これを受けても、なお退職代行は必要とされるのだろうか?退職代行サービスの存在意義とは。(エス・ピー・ネットワーク取締役副社長 首席研究員 芳賀恒人)

「外部に言わないでね」「違法だから」
逮捕は当然か、モームリの悪質性

 退職代行サービス「モームリ」の運営会社アルバトロスの社長と妻が、弁護士法違反の容疑で警視庁に逮捕された。容疑は、報酬目的で依頼者を弁護士に紹介していた違法な「非弁行為」だ。社長らは「違法とは思っていなかった」と否認しているという。一方、同社から違法に依頼者の斡旋を受けたとして弁護士2人と、弁護士事務所の男性職員についても警視庁は弁護士法違反(非弁提携)で書類送検した。

 元従業員らは「社長や幹部たちは、一部の業務が違法だと分かりながらやっていたはず」と指摘する。例えば妻は、従業員に対して「それ、外部に言わないでね」「違法だから」といった発言をしていたという。また、社内には「(複雑な案件の場合)顧問弁護士を紹介する」というマニュアルがあったとの証言もある。

 さらに弁護士に至っては、「弁護士法上、紹介者に対して紹介料をお支払いすることが禁止されております。そこで、ご紹介案件については、紹介料という名目ではなく、何か別の名目であれば、相当額を謝礼としてお渡しすることはできると思います」とメールで隠蔽工作までしていたというから驚きだ。

 本件において「コンプライアンス意識の低さ」「認識の甘さ」はすでに指摘されている通りだ。企業の危機管理に数多く接してきた筆者からすると、モームリは「大丈夫だろう」「こうすれば何とかなる」などと、「クロ」を「薄いグレー」あるいは「シロ」にするため都合のいい情報だけをつなぎ合わせて構築する、極めて危うい判断をしていたと推測できる。

 そもそも退職代行サービスの存在意義とは何か。モームリ社長ら逮捕を受けても、なお退職代行は必要とされるのだろうか?