Photo by Shogo Murakami
2025年の新語・流行語大賞に、高市首相が就任会見で発した「働いて×5まいります」が選ばれた。従来の「ワークライフバランス」的な価値観とは真逆にも聞こえるこの言葉が、なぜ今年を象徴するフレーズになったのか。20代にして政治や社会問題の発信で影響力を広げる岸谷蘭丸さんに、「働き方と時代の空気」について話を聞いた。(教育エディター 江口祐子)
高市総理の「働いて×5」発言よりも
岸谷蘭丸が驚いたこと
――2025年の新語・流行語大賞にノミネートされた30語の中で、気になる言葉はありますか? 例えば、ビジネスパーソンは「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が気になると思います。
これ、大賞になるかもですね(大賞は12月1日発表。インタビューは11月中に実施)。女性首相が誕生したこと自体が歴史的で、その象徴として残しておきたいフレーズじゃないですか。素直に「時代を象徴しているな」と思いました。
「働き方改革に逆行している」「働きすぎを美化している」なんて声も出ていましたけど、僕は、「何言っているの?」って正直思いました。高市さんは首相になったばかりで、今まさに政治に全振りするタイミング。小さな子どもがいて働きにくいライフステージでもないわけだし。 ていうか、普通に考えて首相が9時5時以外は連絡つかない、みたいな働き方だったらちょっと困るし。
それより個人的には、国会答弁のために深夜残業をしている官僚の映像を見て、「まだFAX使っているんだ?」ってめちゃくちゃ驚きました(苦笑)。そういうところこそ、デジタル化して効率化できないんですかねえ……。
――64歳の高市首相が「ワークライフバランスを捨てます」と発言した一方で、若者にはワークライフバランス志向がずいぶん広がっています。
高市首相の発言は、一般人に「同じように働け」と言っているわけじゃない。「働ける人、働きたい人は働く」という価値観だってあるよ、それも多様化ってことで、注目されているんじゃないかなと。
僕は正直、自分と同世代の友達にワークライフバランスどうのこうのって言われたらびっくりしちゃいます。僕はライフに当たる時間、やる事なくてすげえ暇だなーと思っちゃうので(笑)。
むしろ同世代の若い子たちが暇を最高に楽しく謳歌できているなら、うらやましい。僕は24歳ですけど、今年はめちゃくちゃ忙しかったし、今は働いている時間が楽しい。休みができると、何したらいいかわからず不安になっちゃいます。僕の周りはそういう人が多いです。
――2025年は「残業キャンセル界隈」という言葉も話題になりました。







