「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
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表現力のカギとなる「比喩(たとえ)」
作文や日常会話を通じて、子どもが自分の気持ちや見たことを上手に言葉にできたとき、「この子、表現する力が伸びてきたな」と感じたことはありませんか?
その表現力をさらに伸ばすコツのひとつが、「比喩(たとえ)」を使うことです。
たとえば、「空が赤くなってきた」という文章。これに対して、「まるでケチャップをこぼしたハンカチみたいだった」と比喩を加えるだけで、情景が目に浮かぶような表現になります。比喩は、見たもの・感じたこと・心の動きを、その子だけの言葉で伝えるための力強いツールです。
「楽しかった」「すごかった」といったシンプルな言葉も大切ですが、それだけでは、子どもの感性や思考が十分に伝わらないこともあります。
〈比喩なし〉
友だちが転んで泣いていました。かわいそうでした。
〈比喩あり〉
友だちが転んで泣いていました。涙がポタポタ落ちて、まるで小さな雨がふっているみたいでした。
〈比喩なし〉
お兄ちゃんに怒られて、悲しかった。
〈比喩あり〉
お兄ちゃんに怒られて、心の中に黒い雲がもくもく出てきた気がしました。
こうした比喩表現は、子どもが「自分の感情を客観視する力」や「誰かに伝える力」を育てる土台にもなります。
子どもの比喩がうまくなる、親の問いかけ
とはいえ、いきなり「比喩を使ってごらん」と言っても難しいもの。そんなときは、大人がさりげなく問いかけてみましょう。「その楽しかった気持ちって、どんな形だった?」「今日の空って、何かに似てなかった?」「パパのお腹、なんか別のものに見えない?」。子どもが比喩を思いついたときは、ぜひ「それ、おもしろいね!」と肯定的に返しましょう。正解はひとつではありません。その子の感性が表れた比喩は、どれも、その子だけの正解です。
そして、大事なのは、少しくらい比喩がおかしくても、絶対に否定しないこと。「なにそれ?」「そんなの変だよ」「意味がわからない」と言われると、子どもは自由に言葉を使うことにブレーキをかけてしまいます。
比喩を考え言葉にする力は、作文力はもちろん、観察力・感受性・表現力などもまとめて育ててくれます。そしてなにより、言葉で伝えることが「楽しい!」と思えるようになります。日常の中で、ちょっとした「たとえ遊び」を楽しむことで、子どもの言語化は、みるみる伸びていくでしょう。
拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』には、子どもの比喩力アップにつながるゲームも紹介しています。ぜひ気軽にやってみてください。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






