「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

なぜスマホで子どもは話さなくなる? →親も知らない“静かな脳の異変”Photo: Adobe Stock

スマホが、子どもの「言葉の回路」を弱める?

 子どもがスマホに夢中で、ほとんど言葉を発していない。そんな様子を見たことはありませんか?
 夢中になっているときは仕方がない、と考えるのは早計です。じつは今、スマホを見ていないときでさえ、子どもが「話さない」「表現しない」状態が増えています。
 そう、スマホが、子どもの「言葉の回路」を弱めてしまっている可能性があるのです。

 スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンの著書『スマホ脳』では、スマホの長時間使用が脳に及ぼす影響について、数多くの科学的データが紹介されています。

 とくに問題視されているのが「集中力」や「記憶力」の低下と、「精神状態」の悪化です。これらは、スマホの刺激で報酬系(ドーパミン系)が過剰に働き、脳が浅い快楽ばかりを求めるようになることで起きやすくなります。

 精神科医の樺沢紫苑氏は、著書『19歳までに手に入れる 7つの武器』にこう書いています。
「スマホは感情のコントロールも悪化させます。スマホを使うほどイライラや不安が増える。コミュニケーション能力も低下するのです」。

 言語化する際、私たちは、思考や感情をいったん自分の内側で整理します。常に刺激に反応し続けるスマホ中心の生活では、その整理すらおぼつかなくなるのです。

 言語化力が損なわれていくのは、むしろ自然な帰結だと言えるでしょう。

問題は「使い方」と「使う時間のバランス」

 カナダの研究では、1日2時間以上スマホやタブレットなどのスクリーンに触れている子どもほど、言語発達に遅れが見られる傾向があると報告されています。

 また、スマホ使用によって睡眠の質が下がることも、さまざまな研究で示されています。
 脳には、睡眠中に言葉や感情の記憶を整理する働きがありますが、就寝前のスマホ使用はこの大切な時間の働きを弱めてしまいます。

 もちろん、スマホそのものが悪というわけではありません。問題は「使い方」と「使う時間のバランス」にあります。

 スマホで情報を受け取るだけでなく、自分から考える・感じる・伝える機会を意識的につくることが、言語化力の低下を防ぐポイントです。

 たとえば、1日の終わりに「今日、いちばん心が動いたことは?」と子どもに問いかけてみる。読書のあとに感想を語り合うスマホで見た動画について「どう思った?」と対話を広げてみる。

 こうした関わりを持つ中で、子どもは自分の頭で考えることや、その考えを言語化する習慣を身につけることができます。

 言語化力は、子どもの「思考力」や「自己肯定感」ともつながる、大切な生きる力。その力をスマホに奪われないよう注意しなければいけません。

 拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』には、親子や子ども同士でできるゲームを通じて、「気持ちや考えを言葉にするプロセス」が育つ遊びをいくつか紹介しています。ぜひ気軽にやってみてください。

 *本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。