池上 彰氏 Photo:SANKEI
テレビでのわかりやすい解説でもおなじみの池上彰氏だが、その話術には細かな工夫が隠されている。相手の興味を引くためのスパイスから、聞き手の心を閉ざしてしまうNGワードまで、しゃべりの達人はトーク中に何を意識しているのか。本人が解説する。※本稿は、ジャーナリストの池上 彰『池上彰が話す前に考えていること』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
「おやっ」と思わせるつかみで
聴衆の心を一気に引き込む
私自身、人前で話すときは、「つかみ」をけっこう気にしています。
たとえば日本経済をテーマに壇上に立つとしましょう。マイクを握って一言めに、こんなことを口にします。
「日本経済には再生する力があります。それはズバリ、小泉純一郎さんのおかげ」
すると会場には「えっ!」という緊張感が走る。「池上彰って提灯持ちだったのか」と呆れる人もいるでしょうが、これこそが私の「つかみ」なんです。
「どうして小泉さんのおかげかって?それはね、彼が日本経済のために何もしてくれなかったからです」
こう続けると客席はワッと沸きます。このどんでん返しによって、「池上の話をもうちょっと聞いてやってもいいかな」と興味をもってくれる人もいるでしょう。それを狙ってやっているわけです。
声のトーンを変えるだけで
場に緊張感をもたらせる
大学の講義などで一方的に話し続けていると、どうしても単調になりがちです。うっかりすると疲れている学生たちの子守歌になってしまう。
メリハリをつけるため、話し方、立ち居振る舞いにも工夫を凝らしています。







