米株市場に付きまとう怖い通説Illustration: Alex Nanaum for WSJ

 テック株に資金が集中する今の米株式市場に投資するのは危険だと、あなたは思っているだろうか。

 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるブラウン博士の「デロリアン」のようなタイムマシンで、投資するのにベストな時期に行けると想像してみよう。あなたはいつに行くだろうか。筆者は1932年6月1日だ。S&P500種指数はこの日、1929年に付けたピークから86.2%下落した。

 この日に投資して長期保有していれば、年率換算で史上最高水準のトータルリターンを得られる。10年で約12.3%、20年で15.1%、25年で16.1%だ。年16.1%のリターンが25年なら、10万ドルは約420万ドル(約6億4200万円)になる。

 この大もうけの礼を言うべき相手はブラウン博士の次元転移装置ではない。多くの金融アドバイザーや資産運用会社が言うところの「危険なほど過度に集中した」株式市場だ。

 実は1932年6月1日時点で、米株式市場の時価総額の12.7%を1社が占めていた。米通信大手AT&Tだ。

 これは現時点で時価総額が米国最大の画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアを大きくしのぐ。エヌビディアは、S&P500種指数の7.8%、米株式市場全体の6.9%を占めるにすぎない。

 タイムトラベルはただの想像だが、この数字は現実だ。足元では不安定な相場が続く。ウォール街では今、巨大テック企業が牛耳る現在の市場は怪物で、あなたのインデックスファンドを粉々に踏みつぶす、という通説が幅を利かせている。現実の数字は、この通説に対抗する一助になる。