個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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株で勝てるようになりたければ…
窪田さんは、株で勝つために必要なことについて、本書の中で次のように語っています。
「そもそも投資もしていないのに投資について“お勉強”するのは退屈なものです。ちっとも身につきません。それよりも、とにかく株を買ってみて、失敗したり成功したりしながら勉強するとあっという間に必要な知識が身につきます」(『株トレ ファンダメンタルズ編』より)
つまり、「学んでから投資する」のではなく、「投資しながら学ぶ」。自分で判断し、迷い、間違え、そして考え直す。そのプロセスを繰り返すことで、投資力は磨かれていくというのです。
この局面、買う? 売る? それとも様子見?
では、実践的なケースを題材に、投資力を磨いていきましょう。
次の場面で、あなたならどう判断しますか。
4月24日15時、A社が決算を発表しました。
・前期(2025年3月期)は、不採算事業から撤退した影響で特別損失を計上し、▲197億円の赤字に転落。
・今期(2026年3月期)は、225億円の黒字に転換する見込み。
翌日の午前10時の時点で、A社の株価は前日比+281円(+20%)と急騰しました。
さて、あなたなら、どのような投資判断を下しますか。


業績はV字回復の見通し
一つずつ情報を分析していきましょう。
前期の赤字は「特別損失」によるものです。
特別損失とは、一時的に発生する費用のことです。たとえば、撤退事業の設備を除却する「固定資産除却損」や人員整理に伴う「特別退職金」などです。
つまり、本業が崩れたわけではありません。今期は不採算事業の損失がなくなり、既存事業も伸長。利益は急回復する見込みです。
PERから見ても割安
急騰後の株価は1,682円。前日比で20%の上昇です。
「20%も上がった」と考えるか、それとも「それでもまだ割安」と捉えるか。ここが、個人投資家としての実力が問われる分かれ目です。
PERを出してみます。1株利益(EPS)は168円予想です。
PER=株価÷EPS
A社のPER=1,682円÷168円=約10倍
PER10倍は、割安の水準と考えられます。
1日の値動きだけで判断しない
それでも「前日から20%も上がっている。今さら買えない」と感じる方もいるでしょう。しかし、少し視野を広げてみます。
A社株は3月に2,200円をつけた後、業績に対する不安から1,401円まで下落していました。そこからの+281円です。
窪田さんは、ここは「買い」だと言います。今まさに、「業績不振銘柄」から「業績回復・割安銘柄」へと評価が転換したタイミング。好材料が出た初日であれば、買いを検討すべき局面です。
売買高が急増している点にも注目です。多くの投資家が新たに買いに入っています。需給のバランスが変わり、買い優勢に転じつつあります。上昇トレンドに転換した局面である可能性が高いのです。
この場面での「売り」は悪手
窪田さんは、この局面での「売り」は悪手だと指摘します。
20%上昇という数字だけを見ると高値に思えますが、1日の値動きだけで判断すると、大きな流れを見誤る可能性があります。
ただし、「詳細が分からないから様子見」という判断も、間違いではないと言います。
決算の中身を十分に理解できていない。事業の将来性に確信が持てない。その場合は、無理に動かないという選択も立派な戦略です。


