カナダ産原油の大半はアルバータ州に存在する。同州より埋蔵量が多いのはサウジアラビアとベネズエラのみ Photo:James T. Areddy/WSJ
【ボクソール(加アルバータ州)】カナダの多くの地域では、同国を51番目の州にするといったドナルド・トランプ米大統領の挑発的発言が大いに不興を買っている。だが、この保守的で石油資源の豊富な州では、トランプ氏が好機をもたらすかもしれない。
西部アルバータ州は年内にカナダからの独立の是非を問う住民投票を実施する見通しだ。独立運動の支持者は、トランプ氏の破壊的エネルギーのおかげで、彼らの運動に弾みがついていると評価する。アルバータ州の分離独立派は、カナダのリベラルな政治を揺るがし、石油生産を加速させるために、トランプ氏が力強い協力者になると考えており、「独立国家」にはなれなくても、独立を妨げることはないとみている。
アルバータ州の独立が実現する可能性は低いが、カナダにとってゾッとするシナリオではある。同州は資源の宝庫で、カナダ産原油の大半がここに眠っている。原油埋蔵量で同州を上回るのはサウジアラビアとベネズエラだけだ。
トランプ政権の当局者は、エネルギー・貿易問題を協議するため、アルバータ州の独立運動指導者らを何度も首都ワシントンに招き、歓迎してきた。スティーブ・バノン氏などを含むトランプ氏に近い人々は、アルバータ州独立の議論をあおっている。最近、スコット・ベッセント財務長官は「人々は主権を望んでいる」と、この運動を肯定するような発言をした。
トランプ氏は昨年大統領に就任する前から、アルバータ州に関心を示していた。昨年1月、当時のトランプ次期大統領は、フロリダ州で2日間にわたり、アルバータ州の保守派指導者であるダニエル・スミス州首相とエネルギー協力について協議した。スミス氏はその後、住民投票が実施できる道を開いた。
住民投票への取り組みを開始した分離派指導者のミッチ・シルベスター氏は、米国務省当局者との会談後、自らが得た感触についてこう語った。「彼らは自由で独立したアルバータ州を歓迎すると思う」
アルバータ州の独立支持団体「ステイ・フリー・アルバータ」を率いるミッチ・シルベスター氏は、住民投票を支持する署名を集め始めた Photo:James T. Areddy/WSJ
同氏によると(国務省当局者との)協議の目的はアルバータ州を独立国家にすることではなく、独立宣言によって対米貿易を中断させないことだったと述べた。「われわれはオープンな対話を続けることを確認した」と、シルベスター氏は述べた。
トランプ氏自身は、アルバータ州の分離独立について何もコメントしていない。ホワイトハウスの当局者はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の質問に答え、「政府当局者はさまざまな市民社会団体と会談している。支持や約束が伝えられたことは全くない」と語った。







