米国防総省とアンソロピック、「ウォークな」AI巡る対立激化Photo:Michael M. Santiago/gettyimages

 人工知能(AI)開発の米新興企業アンソロピックがここ数週間、直近の300億ドル(約4兆6000億円)の資金調達ラウンドで出資者を募っていた際、意外な投資家に接触した。ドナルド・トランプ大統領の息子の1人がパートナーを務める親トランプ派のベンチャーキャピタルである1789キャピタルだ。

 事情に詳しい関係者によると、同社は何億ドルかの投資を検討した後、イデオロギー上の理由から投資を見送ることを決めた。同社の懸念材料には、アンソロピック幹部がトランプ氏を批判していたこと、バイデン前政権関係者数人を雇用していること、AI規制のロビー活動をしていることなどがあるという。

 アンソロピックは最終的に、ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンド、シンガポールの政府系ファンドであるGIC、ヘッジファンド運営会社コーチュー・マネジメントなどの投資家から、望んでいた資金を問題なく調達できた。だが、要請が拒絶されたことは、アンソロピックが資金面での問題はないものの、政治的な問題が拡大していることを示している。

 同社は、機密環境で使用できる唯一の大規模言語モデル(LLM)である「クロード」を開発した。米国防総省から付与されたこの地位は競争上の優位性となっている。アンソロピックは24年にデータ分析ソフトウエアプラットフォームなどを手掛ける パランティア・テクノロジーズ と提携し、25年夏には最大2億ドル相当の国防関連契約を獲得した。

 だが最近では国防総省の標的となっており、この対立は米国の防衛複合体全体に衝撃をもたらす可能性がある。

 国防総省は、アンソロピックなどのAIツールをあらゆる合法的な目的に使用できるようにしたいと考えている。一方、アンソロピックは、自社の技術が国内監視や自律型致死兵器などの作戦に使用されることを望んでいない。

 競合するオープンAI、グーグル、xAIは、自社のモデルをあらゆる合法的な利用事例に展開することに原則として同意しており、これは国防総省の優先事項だという。エミル・マイケル国防次官(研究・工学担当)が17日、フロリダ州ウェストパームビーチでの防衛サミットに出席した際のインタビューで述べた。アンソロピックは同意していない。

 マイケル氏は「われわれは、あらゆるモデルを全ての合法的な利用事例に使用可能である必要がある。それに応じたくない企業があるなら、それはわれわれにとって問題だ」と述べた。