「いくつ始めたか」は誇れるのに、「いくつやめたか」には答えられない――そんな心当たりはありませんか。切られないアイデアが資源と注意を奪い、成長を鈍らせる。いま必要なのは勇気ある剪定です。
楽天グループ代表取締役会長兼社長・三木谷浩史氏をはじめ、Google元会長やZoomの創設者も絶賛する世界的ベストセラー『1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則』をもとに解説します。
Photo: Adobe Stock
新企画を「ゾンビ」にしてはいけない。
「目標打ち切り率は?」という件名のメールを受け取ったら、あなたは警戒するかもしれない。
しかし、これはある大手米国企業の経営幹部を対象とするワークショップの後に、参加者に投げかけた当たり障りのない補足質問だ。
この会社は多くの実験や試験に多額の投資をしてきたが、そのどれからも大した利益を得ていなかった。
ワークショップでは、ここ数年で立ち上げたプロジェクトや新規ベンチャー事業の数を上級幹部が誇らしげに発表した。
ところが、「では、いくつ打ち切りにしましたか?」とアレックスが質問すると、幹部は困惑するばかりだった。気まずい沈黙が真実を物語っていた。
ゼロだ。新たな製品やサービスがゾンビのように存在し続け、企業報告書に繰り返し記載されて、貴重なリソースと上級幹部の注意を奪っていた。
VCのように、プロジェクトの打ち切りを判断する時期や方法について、厳格なポートフォリオアプローチを策定する必要がある。
「打ち切り率」という概念に衝撃を受けるかもしれないが、だからといってためらってはならない。
庭の草花を剪定しよう。千の花をすべて咲かせたままにしてはいけない。
はさみを手元に置いておくのだ。たくさんの賭けをあまりに長く続けていると、そのいずれにも十分注力できなくなる恐れがある。
企業社会では、革新的なアイデアに対して、発案者をただ忙しくさせるだけで、インパクトを与えるには十分でない程度の予算しか割り当てられないことがあまりにも多すぎる。
パーカーにジーンズ姿の人たちが透明なガラスの壁に思いついたことを自由に書いているイノベーションラボには、このようなアイデアのバラ園がある。
(本書の著者を含む)訪問者は、その企業のイノベーションに対するコミットメントや起業家的な考え方、いま流行りの専門用語が飛び交う様子を見せるために、こうしたラボによく案内される。
確かに、ラボは活気に満ちているように見える。
だが、どんなアイデアも、それを広く展開するのに十分な注目と資金を得られない限り、成長の推進力ではなく、単なるイノベーションの成果物にしかならない。
賢明なベンチャーキャピタリストは、庭を雑草だらけにはしておかない。
それぞれの賭けは、プロダクトとして試験を経て市場に投入され、その後拡大展開もしくは打ち切りという経過をたどるべきだ。
ベンチャーキャピタリストは日常的に多くのスタートアップを破綻するに任せ、早期に損切りをし、その分ユニコーン候補に倍賭けする。
企業のイノベーションラボではこうしたことはめったに起こらない。
組織には生み出したすべてのアイデアを管理している余裕はない。コンサルティング会社キャップジェミニの最近のレポートによれば、こうしたラボの90%がうまくいっていないが、それも当然だろう。
(本記事は『1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則』から一部を抜粋・編集しています)







