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ネットやSNSで議論を呼んでいる「育休もらい逃げ」――なぜこれほど問題視されるのでしょうか。【育休もらい逃げクエスチョン】を通して、この現象の正体、「ズレの本質」について解説します。(特定社会保険労務士 採用定着士、大槻経営労務管理事務所 鈴木麻耶)
「育休もらい逃げ」とは?
「育休もらい逃げ」という言葉が主にSNS上で話題です。育児休業制度を利用した後に復職しない、または復職しても十分に貢献せず退職することを指す造語です。
「復職面談で『辞める』と聞いたときは正直、逃げられたと思った」「制度の主旨に反している、ズルい」――。職場の同僚や上司あるいは部下、人事担当者であれば、こんな気持ちになった人もいるかもしれません。
一方、当の本人は育児とキャリアの両立に悩む中、現実的な選択を迫られるのも事実です。制度の存在と職場の受け止め方に、ギャップが生じているようにも見えます。では、育休を取得した後に復職しないことは、何が問題なのでしょうか?
【育休もらい逃げクエスチョン】
以下の3つのケースは育休取得後、会社を辞めた人に「退職に至った本音」をヒアリングしたものです(いずれも仮名)。この中で、「違法」なものはどれだと思いますか?
◆落合さん(在職時:コールセンター勤務、女性)
「仕事も職場環境も好きだったので復職する気でした。でも保活中にママ友から在宅・フレックス勤務が可能な会社を教えてもらって。自宅で仕事ができるって、小さな子を抱えている身にはすごく魅力的。以前の私は、他の環境をあまりに知らなかったんだと思います。転職した今は、在宅ワーク可能で出社は週1回なので、ワークライフバランスがとても良好です」
◆佐藤さん(在職時:営業事務、女性)
「今だから言えますが、第1子の育休中に第2子の妊活を始めていましたし、2人分の育休中に転職についても調べてはいました。今後は昇進や昇格もなさそうだし。逆に昇進したらしたで、バリバリやって心身が潰れていく先輩ママも見ていたから、ああはなりたくないと思った。無理せず子どもと寄り添う生活をしたい気持ちでした」
◆武田さん(在職時:不動産開発、男性)
「育休を3カ月取得しました。復職後は時短勤務を考えていたんですね。もちろん制度はあるんですよ。ただ、面談で口にした途端、微妙な空気になったというか、『それじゃあマネジメント職になるなんて無理だ』みたいな雰囲気になりまして……。上職はみんな男性で、育休や時短なんて考えたこともなさそうな人ばっかりだし。結局、もう上には行けないってことなのかなと。あんなに子育て応援とか言っているのに。それならもうこの会社いいや、もっと実力で評価される会社に行こうと思いました」







