出生者数70万人割れにも影を落とす“世間”の束縛、職場の「謎ルール」は可視化し地道につぶせPhoto:PIXTA

2024年出生者数は70万人割れ
経済的理由だけでない少子化の理由

 日本の出生数は、「第2次ベビーブーム」の209万人(1973年)以降、減少の一途をたどってきたが、2024年に統計開始後初めて70万人を割り込んだという。合計特殊出生率も1.15で過去最低を更新した。

 この少子化の状況は、社会にとってきわめて深刻で危機的なものだが、その原因や対策を巡ってさまざまな議論が展開されている。

 議論は多岐にわたるが、少子化の大きな理由として、実質賃金が下がり続け、正規・非正規など収入の格差が広がっていることで、結婚したくともできない若者が増えていることが指摘されている。確かに生涯未婚率は80年には5%未満だったが、20年には男性28.3%、女性17.8%と大幅に増えた。つまり経済的理由で、結婚しない人間がどんどん増えているのだ。

 しかしそれだけではない。私は少子化の理由として「世間」に性差別的な「謎ルール」があまりに多く、結婚や出産を巡る日本特有の不自由さが存在することが大きいと思う。

 職場などでも、これだけ男女の雇用均等などが叫ばれながら、最近の調査でも、「女性にのみ朝晩の掃除をさせる」「産休育休を取ったら評価が下がり、昇進しづらい」「入社面接や部署異動などで、女性にだけ彼氏や結婚の予定の有無を聞かれる」などなどの「謎ルール」が続々明らかになっている。

 私の専門の「世間学」の立場からこれを読み解いてみたい。