「池脇千鶴がすごかった」制作スタッフを驚かせた“母親としてのクライマックスシーン”〈ばけばけ第108回〉

子どもができたことをヘブンに言えない

 ヘブンにフィリピンで滞在記を書くという大きな仕事が来ているらしい、と聞いた司之介は「異国には行けない」と言う。いや、1人で行くみたいだと言うトキに、子どもができたことだし引き止めるしかないと、とにかくヘブンを外国に行かせない姿勢だ。だが、トキは「ヘブンは書く人になりたいから止められない」と泣く。

 それをフミは険しい顔をして聞いている。

 娘に子どもができたと聞いてからここまでの池脇千鶴の芝居が生き生きしている。橋爪國臣チーフプロデューサーはここも今週のクライマックスのひとつと言う。

「池脇さんの演技は、娘に子どもができてうれしいだけでなく、もう少し深く、トキの気持ちを理解していることが伝わってきます。例えば、トキがヘブンに妊娠したことを話せない気持ちもわかっている。トキの悩みを一緒に共有できる母親なのだというシーン、第108回はなったと思います。あのシーンの池脇さんはすごかった。第108回はある種のクライマックスです」

 最大のクライマックスは、これから109、110回と続く。

 その晩の夕飯は静か。ヘブンに体調を心配されてトキは「まあなんとか」と誤魔化(ごまか)す。

 ロバート(ジョー・トレメイン)の紹介してくれた医者に行こうと言うヘブンに、トキは「なんとかいうのは達者ということですよ」と教える。

「達者、安心」と何も知らないヘブンは呑気(のんき)である。

 翌日(?)、学校でヘブンはロバートにフィリピンにひとりで行くか、行くのを諦めるか迷っていると相談。

「フィリピン滞在は2年。家族や妻を置いていっていいのか、迷っているんだ」というヘブンに、「2年なわけないだろう」とロバートは言う。

「2年たって日本に帰ってきて何か書けるのか、自分でもわかってるだろう。行ったら最後、日本とは永遠におさらばだ」

 つまり、日本にはもう何も書くことはないのだから、日本にいる意味はないとロバートは助言している。