中国でもロシアでもない…米国のイラン攻撃で「最も困る国」とは?【池上彰・増田ユリヤ】2026年2月13日、米ノースカロライナ州フォートブラッグにある米陸軍基地を訪問するドナルド・トランプ米大統領。26年初頭にベネズエラで行われた軍事作戦に従事した特殊部隊をたたえるために同基地を訪問した Photo:AFP=JIJI

イランとの核協議へ
トランプ大統領の圧力

池上 トランプ米大統領がイランとの核協議への圧力を増すために、空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃軍を中東地域に派遣しています。米国とイランは緊張緩和のための交渉を続けていますが、トランプ氏は核協議の決裂は許さないとばかり、さらなる空母の追加派遣も発表しています。

増田 2月6日、17日には米国とイランの間で高官級の協議が行われました。2025年6月、トランプ氏がイランの核濃縮施設を標的とする攻撃を行ったことで中断していた協議が再開されたものです。イラン側は高濃縮ウランの備蓄を第三国に移転する案を示すなど、譲歩の姿勢を見せています。

池上 トランプ氏も協議を続ける方針を示していますが、空母派遣で「合意に至らなければどうなるか分かっているだろうな」と脅しているんですね。

米国が核合意から
離脱した理不尽な理由

増田 経緯をさかのぼると、イランは15年に米英独仏中ロの6カ国を相手に、核に関する制約を取り決める核合意を結びました。国際原子力機関(IAEA)の規定より厳しい制約と査察を受け入れ、各国はその見返りにイランへの経済制裁を解除しました。

 ところが18年、トランプ氏が核合意から一方的に離脱してイランへの経済制裁を再開したのです。自分から抜けておいて、今になってイランに「核協議に応じよ、応じなければ攻撃する」と迫るのは矛盾していませんか。

池上 核合意の下でIAEAはイランが核開発を行っていないことを確認していました。ところが核合意はオバマ政権時代に成立したものだから、トランプ氏は気に入らなかった。故に離脱したのです。