米国に出現した強権的指導者
「トランプ2.0」が世界を振り回す!?
1月20日にトランプ第2次政権が発足した。米国の第47代大統領に就任し、再登板となった就任演説で、トランプ氏は「再び世界中から敬意を表される存在になる」「黄金の時代がいま始まる」などと、米国第一主義を掲げて熱弁をふるった。
もっとも、昨年11月の大統領選挙での当選以来、トランプ氏が事実上、米国外交や政治を主導していたといってもよく、ガザ一時停戦の合意の際には、イスラエルのネタニヤフ首相はバイデン前大統領より先にトランプ氏に謝意を表明、プーチン大統領も同氏との会談を待ち望んでいる面持ちを隠さなかった。
経済面でも大手ハイテク企業トップらは手のひらを返すようにトランプ氏に従順を誓い、世界の金融市場もまた昨秋来、次期大統領への期待を膨らませトランプトレードを謳歌(おうか)してきた。
USスチール買収問題でバイデン前政権から肘鉄を食らった日本製鉄も、思いは同じだろう。トランプ政権で買収阻止がひっくり返るかどうかは分からないが、少なくともバイデン氏よりはビジネスライクな話ができる可能性はゼロではないかもしれない。ベッセント次期財務長官候補もCFIUS(対米外国投資委員会)での見直し姿勢を示唆している。
このように数年前には想像もできなかったような「トランプ期待」が、米国だけでなく世界にも広がってきたことには驚きを禁じ得ない。
だが、世界への「トランプ脅威」の大きさはそれを上回るものだ。米国に出現した強権的指導者が国際情勢や世界経済を振り回す「米国Gワン・リスク」の時代といえるかもしれない。