「ペットに遺産は残せない」でも守れる…殺処分を防ぐ“たった1つの方法”とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。
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「ペットに遺産は残せない」でも守ることができる!
本日は「相続とペット」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。
故人がペットを飼育していた場合、相続後に誰がそのペットのお世話をするのかを決める必要があります。他の財産と異なり、ペットには水もご飯も与え続け、トイレや散歩などのお世話も必要です。故人が1人暮らしをしていた場合には、親族が引き取る必要がありますが、ペット飼育が禁止されているマンションに住んでいる場合や、動物アレルギーにより引き取ることができない場合も往々にしてあります。
残念ながら、ペットに遺産は残せません
「ペットに遺産を相続させてあげることはできないか?」とご相談を受けることがあります。残念ながら、法律上、ペットは「物」と扱われてしまうため、遺産を相続させることはできません。
しかし、私も妻が父から相続した犬(ミニチュアダックス)と一緒に暮らしていますので、「ペットは家族」という気持ちはとてもよくわかります。
負担付遺贈とは?
ペットに遺産を相続させることはできませんが、「ペットのお世話をし続けることを条件に、遺産を相続させる」と、条件つきの遺言書を作成し、相続人に世話を義務付けることは可能です。このような拘束力を持たせる遺言を、「負担付遺贈」といいます。
しかし、遺言書だけでは、この約束がきちんと守られる保証がありません。相続後に、約束が守られるかどうかを監督する係として、前述した遺言執行者に弁護士などの法律家を就任させておくことをオススメします。遺言執行者は、もしも、相続した人がペットのお世話を放棄していると判断した場合には、裁判所に負担付遺贈の撤回を宣言し、執行者が指定した別の人に遺産を相続させることが可能です。このような遺言書を作成する場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談されることをオススメします。
もし、遺言書等がなかった場合には、相続人の話し合いで引き受け先を決めることになりますが、ペットを引き継がない相続人は、引き継ぐ相続人に対して、これから発生する飼育代分の金銭を多めに相続させてあげましょう。ペットの飼育には多額のお金がかかります。
特にペットが年齢を重ねると、獣医にお世話になる機会も増えます。ペットに社会保険は使えませんので、全額自己負担となります。故人が大事に育てたペットです。相続人みんなで大事に見守っていきましょう。
また、現在ペットを飼われている方は、自分自身に万が一のことがあったときに、お世話を引き継いでくれる人を、必ずきちんと決めておきましょう。他の財産はどうとでもなりますが、ペットだけは引き継ぐ人がいないと、最悪の場合、殺処分されてしまうかもしれません。最優先課題として、取り組むようにしましょう。
(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)








