【社説】米国のLNG輸出、世界を救うPhoto:Brandon Bell/gettyimages

 カタールはイランによるドローン(無人機)攻撃を受けて、2日に輸出向けの天然ガス生産を停止した。その結果、液化天然ガス(LNG)の国際価格が急騰した。もっと上がってしまう恐れもあったが、10年前に始まった米国のLNG輸出ブームのおかげで、そうはならなかった。特に進歩的左派がLNG輸出の停止を望んでいる現状では、この成功はもっと注目されてもいいだろう。

 米国は何十年もの間、天然ガスの純輸入国だった。しかし、2000年代半ば以降、フラッキング(水圧破砕法)によるシェール層の開発がブームとなり、安価で豊富な天然ガス資源が利用できるようになった。米シェニエール・エナジーは2016年、リスクを冒してかつてのLNG輸入施設を輸出拠点に転換した。同年2月には米本土48州からの初のLNG輸出が始まった。多くの企業が追随したことで、天然ガスの増産が加速している。

 米国には現在、LNG輸出ターミナルが8カ所あり、輸出量は日量約150億立方フィート(約4億2500万立方メートル)となっている。これは冬季に8000万世帯の暖房を賄うのに十分な量だ。米国はオーストラリア、カタール、ロシアを抜き、世界最大のLNG輸出国となった。

 バイデン前政権は2024年、気候変動対策を求める左派の支持を得るため、LNG輸出許可手続きの一時停止を決定した。この措置によって不透明感が生まれ、新規プロジェクトの開発が遅れた。だが、トランプ氏は大統領に返り咲くとすぐに、停止措置を解除した。トランプ政権のエネルギー省はターミナルの新設・拡張計画を迅速に承認しており、先週テキサス州コーパスクリスティの施設に対する承認も、その一例だ。米エネルギー情報局(EIA)によると、米国のLNG輸出量は昨年40%近く増加し、生産能力は2031年までに倍増すると見込まれている。

 現在、米国のLNG輸出額は1日当たり約1億5000万ドル(約236億円)に上り、大きな経済押し上げ効果でサプライチェーン(供給網)全体の企業に利益をもたらしている。米LNG輸出はまた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による2022年初めのウクライナ侵攻後、欧州がロシア産ガスへの依存から脱却するのを後押しした。ウクライナでの戦争開始以降、米LNG輸出全体に占める欧州向けの割合は倍増し、68%になっている。