ハメネイ師死亡のイラン、歴史的な転換点 後継者は不在Photo: Iranian Leader Press Office/Anadolu/gettyimages

 最高指導者アリ・ハメネイ師の死去により、イランは歴史的な転換点に立たされている。米国とイスラエルによる大規模な軍事作戦と国内でくすぶる政情不安に耐えながら、困難な政権移行を乗り越えなければならない。

 ハメネイ師は37年間の統治を通じて、現代中東の進路を形作る上で他の誰よりも大きな影響を与えた。中東第2の大国の精神的・政治的指導者として、地域全体でイスラム教シーア派民兵を通じて影響力を行使し、周辺の独裁者が倒される中で政情不安の波を何度も乗り越えた。

 ハメネイ師は、多分に意図的に、明確な後継者のいない体制を残した。誰が後継者になっても、同師よりも個人的な権威は弱く、より象徴的な役割を果たす可能性が高い。

「指導力が1人の人物に集中することはほぼ確実にないと言える」。2023年に出版されたハメネイ師の伝記の著者で、イランの聖地コムの神学校で14年間学んだメフディ・ハラジ氏は述べた。「次の最高指導者は主に儀礼的な存在になるだろう」

 とはいえ、イランは最高指導者に広範な権限を与えている。最高指導者は軍の最高司令官であり、司法・立法・行政の長でもある。シーア派信仰の最高位の守護者にも指定されている。

 ハメネイ師の死去を受け、最高指導者の職務は憲法に定められた通り、大統領と司法府代表、護憲評議会のメンバー1人の計3人からなる臨時評議会が暫定的に担うことになる。

 その後、88人の聖職者で構成される専門家会議が次の最高指導者を選出する。これは大部分が形式的なプロセスとなる。後継者に関する実際の決定は、新しい指導者を巡る合意が形成される過程で、臨時評議会の外で行われる可能性が高いためだ。

 臨時評議会の3人のうち2人は、後継者候補として取り沙汰されてきた。60代後半の聖職者でイランの神学校を率いるアリレザ・アラフィ師は、政治と距離を置く立場を貫いており、強硬派と穏健派の両方の支持を得られる可能性がある。司法府代表を務める中堅聖職者のゴラムホセイン・モホセニエジェイ師は、反政府デモ参加者への死刑適用を主張しているほか、情報相としての経歴を持つことで反体制派の間で悪名高い。