「中国人になりたい」米国人、生活習慣の模倣が流行PHOTO: JEREMY LEUNG/WSJ

 米テキサス州オースティンに住む専業主婦ノエ・ブライアントさんは41年間、アフリカ系米国人として過ごしてきた。だが今年、彼女は中国人として生きることにした。

 ブライアントさんはソーシャルメディアで拡散された動画に刺激を受け、夫と2人の子どもを連れて地元のアジア系食料品店に向かった。対話型AI(人工知能)「チャットGPT」に、中国の家庭に常備すべき食材は何かと尋ね、しょうゆやクコの実などを約200ドル(約3万円)分買い込んだ。

「『クールな中国人女性になりたい』とチャットGPTに伝えた」と彼女は語る。

 最近は毎朝、温かいハーブ入り中国茶を飲んで一日をスタートする。おかゆは食卓の定番だ。家の中ではスリッパを履き、次は、はり治療を試したいと考えている。

 米国や西側各国で現在、非中国系の人々が中国流のライフスタイルを取り入れている。Z世代の言葉を借りれば、可能な限り中国人に近づこうとする「チャイナマキシング(Chinamaxxing)」が人気を集めているのだ。

 冷たい飲み物を避け、白湯(さゆ)を飲む。家の中をはだしで歩かない。健康長寿のための体操を行う。チャイナマキシングに「改宗」したばかりの人々は、大抵の中国人にとっては歯磨きと同じくらい当たり前の日常習慣に、熱狂的な関心を寄せている。

 中国は経済的には超大国になったが、何十年もの間、世界の舞台で文化的な影響力を確立できずにいた。だが米国が世界への訴求力を失いつつある今、中国のソフトパワーが台頭してきている。

 その種がまかれたのは1年前だった。米国で短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を禁止する動きが差し迫り、中国のソーシャルメディア・プラットフォーム「小紅書」(米国では「レッドノート」と呼ばれる)に大勢の米国人が流入した。そこで中国人ユーザーと「TikTok難民」を自称する米国人が互いに中国語と英語を教え合い、レシピを交換し、それぞれの国の日常生活について情報をやり取りした。

 米国の人気ストリーマーである「アイ・ショー・スピード」(本名:ダレン・ワトキンス・ジュニア氏)やハサン・パイカー氏が昨年、相次いで訪中し、近未来的な都市の映像を数百万人の視聴者に届けたことも大きい。また、中国のおもちゃメーカー、泡泡瑪特国際(ポップマート)が製造するラブブ人形は世界的ブームを巻き起こした。