エプスタイン元被告、財力使い米名門大に食い込んでいたPhoto:Rick Friedman/gettyimages

【ニューヨーク】ジェフリー・エプスタイン元被告は大学を卒業していない。名門大学の学位とは無縁だった。

 しかしエプスタイン元被告が深い関係を築いた相手には、米国で最も著名な学者たちが含まれていた。学者とのつながりは、財政支援や共通の関心、元被告のきらびやかな所有地での接待を通じ、年月をかけて培われた。

 米司法省がエプスタイン元被告に関連する膨大な文書を公開し、拘置所で死亡した性犯罪者が学術界の中枢にまで影響力を伸ばしていたことが明らかになる中、名門大学では元被告と交友関係にあった学者たちのキャリアが崩壊しようとしている。

 先週には、ノーベル賞受賞者でコロンビア大学教授のリチャード・アクセル氏と、輝かしい経歴を持つ経済学者でハーバード大学元学長のローレンス・サマーズ氏が、エプスタイン元被告との関係を理由に所属大学の職を辞した。

 アクセル氏は2月24日、コロンビア大心脳行動研究所の共同所長を辞任すると述べ、エプスタイン元被告との付き合いは「深刻な判断の誤り」だったと話した。サマーズ氏は25日、今学年末でハーバード大学教授としての終身在職権を終了すると述べた。サマーズ氏は昨年11月、関心を寄せていた女性と性的関係を持つことについて元被告に助言を求める自身のメールが公開されたあと、教職を休職して謝罪、「深く恥じている」と述べていた。

 学術界でエプスタイン元被告と親しく付き合っていた人々の中には、マサチューセッツ工科大学(MIT)の言語学者、ノーム・チョムスキー氏や理論物理学者のスティーブン・ホーキング氏など誰もが知る著名人もいれば、それほど有名ではないものの、コンピューター科学や人工知能(AI)などの分野で大きな影響を持つ有力者もいた。

 エプスタイン元被告が接近していた金融業界の大物やプライベートエクイティ(未公開株)投資家とは異なり、大学教授や研究者は元被告に直接的な富をもたらす存在ではなかった。しかし学術界関係者は「元被告が優れた知性の持ち主である」という虚像に磨きをかけるのに一役買った。この虚像もまた、元被告の立身出世に欠かせないものだった。

 例えば、アクセル氏は2007年のニューヨーク・マガジンの特集記事で、エプスタイン元被告には独特の知性があると話した。「彼には、他の人にはできない関連付けをする能力がある。極めて聡明(そうめい)で真実を見いだそうとする。科学者であれば持っているであろうデータがなくても、情報をあっという間に理解して問題を検討したり、生物学的な課題を特定したりできる」