ビットコインは過去11年(2015年1月~2026年1月5日)で500倍を超える成長を遂げた。これは、同じ期間の全世界株指数(MSCI ACWIの配当込み・円)の4.1倍や、金(ドル/トロイオンス)の3.5倍をはるかに凌駕する上昇だ。この「ケタ違いの上昇力」こそ暗号資産に投資する醍醐味といえる。また、国内外で暗号資産への投資を後押しする動きも活発化。米国では2024年にビットコインの現物ETFが承認され、機関投資家の巨額のマネーが市場に流入。2026年3月現在、日本国内でも現物ETFの上場や、暗号資産に対する課税方式の見直しが前向きに検討されている。いまや暗号資産は、「正しく理解して味方につける」べき金融資産となっているのだ。今回は、『一番売れてる月刊マネー誌 ザイが作った「暗号資産」入門』から、知らないと損する暗号資産の「取引手数料」について抜粋して解説する。
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販売所と取引所では
手数料や注文方法に大きな違いがある
暗号資産を買うこと自体は、簡単なのですが、仕組みをよく知らずに始めると、思わぬコストや不便に気づくことも。まずは、「どこで、どうやって暗号資産を買うのか」を整理しておきましょう。
暗号資産を売買できる場所は、大きく分けて「販売所」と「取引所」の2カ所です。1つの取引会社の中に両方が存在し、物理的な場所というよりも、「売買が成立するルール」が異なります。
まず、販売所では、取引会社を相手にして取引が行われます。取引会社が「この価格で買えますよ」「この価格で売りますよ」と値段を提示し、その価格で即時に売買が成立します。一見わかりやすい仕組みですが、実は買値と売値の間には「スプレッド」と呼ばれる差額が発生しており、事実上の取引コストとなっています。スプレッドは取引会社や取引するタイミングによって異なりますが、3~6%かかるのが主流です。
また、販売所では成行注文(今すぐ売買)が基本なので、価格を指定して買いたい人には向きません。ただし、ほぼ確実に約定(取引成立)できるので、初心者が少額で試す場合や積立をする場合には販売所がよく使われます。
一方、取引所では、一般のユーザー間で取引が行われます。買いたい人と売りたい人の希望価格が一致したところで取引が成立する仕組みです。取引所の取引コストは「取引手数料」です。銘柄や出来高によって変動しますが、一般的に0.01~0.5%と非常に低コスト。また、多くの取引所では「指値注文(希望価格で取引)」「逆指値注文(一定条件で自動売買)」など、多様な注文方法が使えます。
まとめると、「簡単さ」が際立つのが販売所、「低コストかつ自由な注文ができる」のが取引所、といったイメージです。
『一番売れてる月刊マネー誌 ザイが作った「暗号資産」入門』より
販売所のスプレッドにご用心!
普段の売買は低コストな取引所がおススメ
販売所と取引所の取引コストの違いについて、詳しく見ていきましょう。販売所は、「アプリを開いてボタンを押すだけ」で購入できる手軽さが魅力です。その半面、「スプレッド」という見えにくいコストが潜んでいます。
先ほど説明したように、スプレッドとは、取引会社が提示した買値と売値の差のことです。原則、買値は売値よりも高く提示されます。スプレッドは銘柄や取引量などによって変わりますが、5%以上かかることも珍しくありません。
たとえば下の図のように、ビットコインの販売所の注文画面で「買値は1ビットコイン=1900万円」「売値は1ビットコイン=1800万円」と表示されていたとしましょう。この時、1ビットコインあたりのスプレッドは100万円です。買値を基準に考えると、約5.3%のスプレッドが発生していることになります。0.01ビットコインを買ってすぐに売ったとしても、1900万円×0.01ビットコイン×約5.3%(スプレッド)より、取引コストによって1万円のマイナスとなってしまうのです。
『一番売れてる月刊マネー誌 ザイが作った「暗号資産」入門』より
同じように、取引所で売買した場合の取引コストはいくらでしょうか。取引所では、買いたい人と売りたい人の希望価格が一致すると取引が成立します。その際、発生するのは「取引手数料」で、1%未満が主流です。仮に取引手数料が0.1%だとすると、1900万円×0.01ビットコイン×0.1%(取引手数料)×2回(買いと売り)より、取引コストはわずか380円です。つまり、販売所と取引所では取引コストで9620円もの差が発生したということです。
売買を積み重ねると、取引コストはどんどん膨らみます。月に数回の取引を1年間続ければ、販売所と取引所で数万円の差があっという間につき、投資成績に大きく影響してきます。「販売所=便利だけど高コスト」「取引所=少し複雑だが低コスト」という構図をきちんと理解しておきましょう。
最初の数回は販売所で少額を試してみるのも良いですが、慣れてきたら少しずつ取引所に切り替えていくのがおススメです。取引コストを抑えて、資産を効率的に増やしていきましょう。
※本稿は『一番売れてる月刊マネー誌 ザイが作った「暗号資産」入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。








