すると彼は少し考えて、こんなふうに答えたのです。

「たぶん、昨日のニュースのせいだよ。CEOが『これからは1万円台のスニーカーを増やす』って発表したから。投資家たちは“高級路線じゃなくなるの?”って不安になったんじゃないかな。もっとハイエンドを目指してほしかったのかも」

 そのうえで、彼はこう続けました。

「でも僕は、1万円台のほうが買いやすいし、NIKEのクオリティがちゃんと保たれるなら、そのほうがうれしい。僕みたいに思ってる人は他にもいると思うし、きっとまた株価は戻ると思うよ」

 そして実際、NIKE株はその後じわじわと回復していきました。

投資を経験させることで
お金のセンスを育てる

 “投資家としての視点”と、自分の“消費者としての感覚”の両方を使って未来を読もうとする。その姿勢こそが、まさに「お金のセンス」を育てる土台なんですよね。

 たとえば15歳の子どもが、自分の口座で買ったApple株の利益で新しいiPadを買う。NVIDIAの株で得た利益で最新のゲームソフトを手に入れ、そこからまた次の投資のヒントを得る――。そんなサイクルが、今どきのおこづかい投資家のリアルなデビュー風景かもしれません。

「好きな会社の株を買う→利益をその会社の商品に再投資→また興味が深まる」という循環は、投資の入り口としてとても理想的です。

 株価の動きと世の中の出来事は、実はしっかりつながっています。急に株価が上がったり下がったりしたときにニュースを見てみると、思わぬヒントが隠れていたりする。たとえ10代でも、自分の興味や日常に近い企業を選んでいれば、株価とニュースをセットで見ることは自然とできるようになります。

 事実、我が家でも、子どもが好きな企業の株を持ってから、ニュースを見る視点がガラッと変わりました。変動に理由があるとわかると、投資の見方も深まります。

 こうして「株価とニュースはいつもセットで見る」という習慣がつくと、「お金の動きって、世界の動きとつながっているんだな」と、自然と実感できるようになる。ただ数字を追うだけじゃない、“気づき”のある投資体験ができるようになるはずです。