そもそもこの投棄の問題は、混獲魚のみならず先ほど言った経済的にペイしない漁獲物や、割当を持つ漁業者ができるだけ価値の高い魚でこれを満たすため相対的に価値の劣る魚を捨ててしまう行為(ハイ・グレーディングと呼ばれています)など、漁業者が魚を海に捨てる行為はかねてから世界的に問題となっており、FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations:国連食糧農業機関)でもその実態解明が行われてきたところです。
表5-2は先ほど言った投棄に関するFAOの報告書の抜粋ですが、FAOは海域別に投棄量の推定を行っており、そこから欧州の主漁場たる「北東大西洋」と日本が含まれる「北西太平洋」の数字を比較してみたものがこの表です。
同書より転載 拡大画像表示
日本は優れた水産物利用国なのに
投棄が多い国と認識されている
実はこの2つの海域は、合計16の海域で推定されている投棄量の1位と2位に該当するのですが、この両者はお互いに、投棄量の平均では北西太平洋が、「推定値の95%信頼区間の上限の値」においては北東大西洋が、他方を上まわっています。欧州各国が漁業を行う海域と、日本や中国、韓国といった国が漁業を行う海域が投棄量の世界一を争っている、というのが表5-2の意味するところです。
なお、このFAOの投棄量の推定は、さまざまな文献やサンプルの中から国による投棄の実態や使われる漁具による投棄率等を勘案して推定したものだ、とされていますが、ここでも食料事情がひっ迫してどんな魚も無駄にしない途上国や水産物の利用度が高い国は投棄が少ないとみて計算されています。







