しかし北西太平洋のケースでは、中国が投棄の少ない国とされる一方、日本はこれに該当しないとされ、結果的に北西太平洋の投棄量は、日本によるものが多いと考えられ計算されているものと思われます。
しかし、日本は、かねてから獲られた漁獲物は、練り物やミールなどで100%近く利用する優れた水産物利用国であり、また、沿岸や沖合海域では漁船の操業密度が高く、沖で大規模な投棄でもしようものならすぐ誰かに通報されてしまうような国でもあることから、この推定結果の太宗を日本が占めているかのようにみえるFAOの報告には強い違和感を感じるのですが、こういう点についても、これまでFAOの活動に相当な貢献をしてきた日本としては、常に目を光らせておくべきだと思います。
EUでも海洋投棄が問題になり
「水揚げ義務」を導入
EUに戻ると、この海洋投棄の問題がEUの漁業政策にとっても無視できないものであることは1990年代から指摘されていたのですが、しばらくEUでは、関連委員会が問題を提起するものの、なかなか全体としての対応が進まず、2000年代に入ってようやく重い腰が上がり始めました。
EUでは加盟国での統一した漁業政策を進めるため、おおむね10年に1度「共通漁業政策」(CFP:Common Fisheries Policy)を策定し、その後の加盟国が進むべき方向性を提示しますが、2013年の共通漁業政策の改訂ではこの投棄問題が一気に課題として浮上しました。
しかし先にも述べたように、この問題は厳格に投棄を禁止してしまうと実際の漁業に大きな影響を与えることから、具体的対応策の策定は非常に難しいものとなり、最終的に彼らが編み出したのは、投棄を一部認めるものの、それ以外はこれを禁じ、逆に漁獲されたものの多くを水揚げするよう漁業者に義務づける「水揚げ義務」(landing obligation)なるものの導入でした。







