サラリーマンでありながら海外の映画祭でグランプリを受賞した長久允氏。その思考法と脚本術を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売となりました。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛の同書から、抜粋・再構成して特別公開します。
「正解の選択」をしたはずだった
学生時代、映画監督になるのが夢でした。
学校の横にあった小さな映画館で、授業の合間に映画を観ていたのを覚えています。
いつしか自分も映画を作りたいと思うようになり、しかし作ってはみたものの、さっぱりなんの賞にも引っかからず、タイムリミットが来ました。
私は就活をして、運よく拾ってもらった広告代理店に入って、営業職につき、毎日スーツで仕事をしました。
仕事自体は大好きだったし、やればやるほどある程度の結果は出て、やりがいもある。次第に、労働にブーストがかかりました。
満たされないまま消耗していく
そのあと社内試験を受けて、営業職からCMプランナーという職業に変わりました。
クライアントさんから「売りたい商品」のオリエン(説明)を受けて、それを映像でどう伝えると視聴者が買いたくなるかを何百案も考えて、おすすめをプレゼンするという仕事です。
CMの監督に近そうに感じますが、実際働いてみるとまったくもって遠い仕事でした。
「超ヒットCMをガシガシ作るぞ!」と意気込んでいたのですが、そう簡単にはいきませんでした。そんなに甘くないですよね、世の中って。
「お前の企画って暗いから、もっと明るい案を出さないとチームから外れてもらうよ」
「このセリフは世界観あって気になるけど、商品購買のためにはいらないね」
「お前はサブカルだからお前がおもしろいと思うもの、じゃなくて、たくさんの人の心が動くものを作らないとダメだよ」
などなど。これらは実際に先輩方からいただいたお言葉です。
広告を作る上で全部正しいと思いますし、今となっては私の得意なフィールドと広告というものとの相性が悪かったんだなと思えますが、当時は悩み苦しみました。
心を消して死に物狂いで頑張っても、結果がついてこない日々が続きます。
倒れてわかる。「クライアントは自分」
そしてあるとき体調を崩し、路上でアスファルトを見つめながら思いました。
どうして私は、こんなにも、死にそうになりながら、命を捧げながら、誰かが作った商品を「なんとなくいい」と思わせることに時間を使っているのだろうか。
そうして私は、もっと表現したいものが別にあるはずだ、と思い出せたのです。
私の脳みそはもっと自由に弾けているのに、私はそれを日常でまったく使っていませんでした。毎日クライアント様に頼まれた仕事で忙しく、to doリストで脳みそを埋めていました。
でも、私は倒れてやっと気づけたのです。
自分の人生のクライアントは、「自分」じゃんか。
それはそれはシンプルな気づきでした。よく考えたら当たり前なのに、労働する私はそのことを忘れて生きていました。
それに気づいてから、他のものは一切中断し、10日間の有給休暇を使って32歳のときに映画を作りました。
この気づきがあったから、今があります。
そしてそれこそが、「自分だけが作れるもの」を作るための答えでもあったのでした。
世界が注目する脚本家が初めて明かす、表現の極意!
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佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん大絶賛!
それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

これからの「世界のスタンダード」を伝える
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……