神谷秀樹氏の新刊『人間復興なくして経済復興なし!』(亜紀書房)に関するインタビューの最終回は経済危機のテーマから離れ、グローバルに生きるために必要なこと、そして今後のプランを語っていただいた。(聞き手・ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
「アカデミック・スマート」より「ストリート・スマート」
――神谷さんのご略歴を拝見しますと、大学時代に留学生と交流するサークルに入ったり、アメリカを旅行されたりはしていますが、アメリカに留学されるとかMBAをとるといったことはなく、邦銀からゴールドマンサックスに移っていらっしゃいます。今、日本では「グローバル人材」の育成が急務と叫ばれておりますが、ご自身の経験に照らしてグローバルに活躍できる人になるには、何を学ぶこと、身に付けることが重要とお考えでしょうか?
成績が悪かったので、学生時代に奨学金をいただくというようなことは無理でしたし、名門大学に修士号を貰いにゆくということなど、現実的ではありませんでした。住友銀行には、免状を取らないで済む語学研修生として、ブラジルの拠点がない、いいかえれば頼れる人のいない都市の語学学校と大学に、ぶちこんで貰いました。
海外で暮らすことに躊躇がなかったのは、6歳から9歳までをバンコックで過ごしたことが影響しています。
私は「アカデミック・スマート」ではありませんが、「書を捨て街に出よ」で、「ストリート・スマート」になることには努めました。
グローバルに生きるには、たしかに立派な学校に勉強に行くのも一つの方法ですが、私には世界の多くの街で、たくましく立派に生きている華僑の人々の姿が模範に見えました。彼らは立派な大学など出てなく、裸一貫で海外に出てきても、3ヵ月もすれば言葉を覚え、商売を始め、やがて蓄財し始めます。そんな姿を見て大いに刺激を受けましたし、勇気づけられました。
大事なことは、何かわからないこと、聞きたいことがあったら、答えを持っていそうな人に、躊躇せず聞きに行く精神です。「私は未熟者で、貴方からこういうことを教えていただきたい。しかし、貴方も私を知ることにより、何か得るものがあるはずだ」という心の持ちかたで、誰にでも話しかける、問いかける、ということをしていれば、だんだん世間が広くなって行くと思います。