経営幹部層に特化したリクルーティングおよびアセスメントを行うラッセル・レイノルズ・アソシエイツ・ジャパン・インク。世界4大エグゼクティブリクルーティング会社の日本支社代表としてこれまで多くの企業に優秀なリーダーを紹介してきた安田氏は、日本の国のリーダーですら海外から見ると存在感が薄いと言う。リーダーシップの定義を伺うことで、日本のビジネスパーソンが身につけるべきことは何かを紐解く。

日本に足りないのは英語力ではない
伝えたいという熱意と、発信力だ

やすだ・ゆうこ
一橋大学社会学部卒業、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営学修士(MBA)。日本IBMにて、SEとして社内情報システムの構築を担当。その後、ブーズ・アレン・ハミルトンのニューヨーク本社、東京事務所においてテクノロジー企業を主対象としたコンサルティング活動を行う。1993年ラッセル・レイノルズ入社以降、すべてのテクノロジー関連プロジェクトに参加。インダストリー、ヘルスケア、消費財、マーケティング、プライベートエクイティ分野での経験も豊富。2004年より日本支社代表。

南 御社はエグゼクティブリクルーティング会社として、これまで数多くのリーダーを企業に紹介されていますが、企業が求めるリーダーシップの定義とは何だと思われますか?

安田 大きく分けて3つあると思います。1つ目は、リスクを取る勇気。慎重に考えた上でリスクを取れる勇気や決断力があることでしょう。2つ目は、優秀な人を集める力と、仲間を巻き込む力。3つ目は多様性や柔軟性があること。すなわち、様々な状況やことに適応でき、なおかつ学び続けられる柔軟性を持つことです。この3つがグローバルに求められるリーダーシップだと思います。

南 なるほど、たしかに重要ですね。

安田 ただ、日系企業の場合はこれらに加えて「グローバルの場で英語でのディスカッションができるコミュニケーション能力」も求められます。

南 その英語力って、どのくらいのレベルでしょう?

安田 そうですね、正直言ってグローバルで通用する討議力は計り知れないです。そこまで英語が出来なくてもコミュニケーションを成立させてしまう人もいますし、TOEICの点数は高いのに会話ができない人もいます。たとえば楽天の三木谷さんのプレゼンテーションは、外国人の場の中でも圧倒的な存在感だと伺っています。

南 三木谷さんは、僕やGREEの田中さんのような起業家経営者の道を切り開いてくださいましたよね。常識や慣習にとらわれるのではなく、本質を見抜いて行動を起こしていかないと日本は変われないというのを示してくれた気がします。