Eテック・ハイブリッドもさらに進化した。Eテックは、メインとサブの2モーター(E-モーター+ハイボルテージスターター&ジェネレーター)と1.6Lエンジンを組み合わせたルノー独自のシステム。ポイントは、モータースポーツ由来のドッグクラッチを使用したマルチモードATだ。モーター側に2速、エンジン側に4速のギアを配し、全体で12通りの変速比から、モーターとエンジンからつねに最高効率のパワーを引き出す。

 具体的には発進時はつねにモーターが受け持ち、中速域ではモーターとエンジンが協働、高速時はエンジンが主体となり、追い越し時などではモーターがアシストする。

 最新モデルは、システム出力が従来の140psから143psに向上。車重が10kg軽量化された関係もあり、WLTCモード燃費は25.4km/Lに0.2km/L向上した。燃費性能は輸入車トップ。

 以前、従来モデルで横浜から四国の松山まで約800km走った際には30.3km/Lを記録して驚いたが、新型がそれを上回ることは間違いなさそうだ。

走りは意のままにして上質な味わい
大人を満足させる完成度の持ち主

 ドライビングフィールは実に心地いい。まず走り出す前から、モダンさを高めた室内造形と、ルノーらしい優しい座り心地のシートがパッセンジャーをもてなす。9.3インチに拡大されたスマホのミラーリング機能付き縦型センターディスプレイの操作性は良好。高音質の9スピーカーBoseサウンドシステムが標準装備されるのもうれしいポイントである。

 走りはスムーズで軽快だった。加速はダイレクト感にあふれ、市街地はもちろん高速道路やワインディングも、まさに思いのままに走れる。パワーの余裕はどんな走行状況でも十分。右足に力を込めるだけで、ドライバーが期待する速さを披露する。シフトセレクターでBレンジを選ぶと、アクセルを離すだけで、最大減速度0.15Gのブレーキ力が得られ、ワンペダル感覚のドライブが楽しめるのもプラスポイントだ。最適効率を求めるEテックは時折、緩加速にもかかわらすエンジンを唸らせるが、それを除けばパワートレーンに注文をつける点はない。

 足回りの印象も素晴らしい。サスペンションは適度に引き締まった調律。ステアリング操作に対し自然な身のこなしを見せ、駆動用バッテリーをリアに搭載する重量配分の良さや重心の低さが実感できた。安定していながら俊敏というイメージだ。

 乗り心地もしなやかである。速度を上げるほどにフラットでしっとりとしたフィーリングに変化する。パフォーマンスはもちろん、快適性はコンパクトカーのレベルを大幅に凌駕している。

 最新のルーテシアは、大型車からのダウンサイジング層にも最適な選択肢だと感じた。クラスを超えた上質感と走りは大いに魅力的。しかも燃費もいい。SUV全盛のいまだからこそ、ローシルエットのコンパクトHBを選ぶのは、クルマ好きであることを周囲にアピールする行為かもしれない。大人が似合う1台である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/横田宏近 写真/横田康志朗)

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