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大人の男性がバッグの中にぬいぐるみを入れて出張に出かけたり、休日に飲食店で取り出し、料理とともに写真を撮ったりする。以前であれば違和感を覚える人が多かったかもしれない光景が、近年、日常の一部として馴染みつつある。2025年の新語・流行語大賞にノミネートされた「ぬい活」は、なぜ多忙なビジネスマンの心を掴むのか?その最前線と、背後にある意外な心理的メリットを追った。(清談社 石水典子)
市場規模は前年比120%超
もはや「子ども・女性のもの」ではない
かつてぬいぐるみといえば「子どもの玩具」や「女性が好むもの」というイメージが一般的だった。しかし、現在の市場データはその認識を覆している。
2024年12月に株式会社BANDAI SPIRITSが実施した「大人のぬいぐるみユーザー実態調査」(18~59歳の男女1032人対象)によると、2024年度のぬいぐるみ市場規模は約390億円に達した。これは2023年から67億円も増加しており、前年比120.7%という驚異的な伸びを見せている。
SNSには出先でぬいぐるみを撮影した大人たちの投稿があふれている。男女に広がるこの波は「オタクの聖地」秋葉原にも拡大している。興味深いのは、そこに集まる人々が必ずしもいわゆる「アニメオタク」だけではないという点だ。
秋葉原の「ドールカフェ」に
集う男性たち
秋葉原からほど近い東京・岩本町にあるドールカフェ「Marionnette Amis(マリオネット・アミ)」。ここは、ドールやぬいぐるみの持ち込みを歓迎する紅茶専門店だ。店内に一歩足を踏み入れると、そこには等身大ドールや人形などが並ぶ光景が広がっている。
客はテーブルに座ると、カバンからおもむろに「小さなお連れ様(ぬいぐるみやドール・フィギュアなど)」を取り出す。するとすかさず店員が自然に声をかけ、「お連れ様」をきっかけにした会話が始まる。ここには、ドールやぬいぐるみの愛好家の思いが共有される、優しい空間がある。
同店店長の三橋賢人氏は、最近の客層の変化をこう語る。
「以前は店のコンセプト通り、ドールを持って来店されるお客様が中心でしたが、最近は『ぬい活』目的のお客様も増えていて、その2~4割が男性です。ぬいぐるみを眺めながらお茶を飲み、会話を楽しむ。そんな過ごし方が定着しています」
「Marionnette Amis」の2階にはコレクター向けドールの製造・販売をする企業アゾンインターナショナル(神奈川県藤沢市)の協力のもとで運営しているスタジオが併設されており、携帯ひとつで、大切な「ドール」「ぬいぐるみ」などの「小さなお連れ様」との特別な1枚を撮ることが可能だ







